約 3,137,152 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4108.html
『長門有希の勝負』 その日は、朝からどんよりした天気で、今にも雨が降り出しそうだった。もちろん、そんな天気のことなど関係なく恒例の不思議探索のため、待ち合わせ場所に集合した我らSOS団の一行は、やはり恒例の俺のおごりの喫茶店での組み分けくじ引きの後、天気同様の重い足取りで店を出た。常に快晴エネルギーの団長様を除いて。 案の定、お昼に集合場所に戻ってきた頃には、ぽつりぽつりと降り出してきた。 「午後の探索、どうすんだよ」 イタ飯屋で昼食のパスタをぱくついている団長様に聞いてみた。 「雨が降ろうと槍が降ろうと探索はやるわよ!」 しかし、店を出るころには雨脚は少し強くなっていて、さすがのハルヒも雨の中を探索するのはやめたほうがいいと判断したようだ。 「うーん、この雨では仕方ないわね」 「じゃあ解散というこ……」 「有希、これから有希んちへ行ってもいい?」 俺がすべてを言い終わらないうちに、物事を進めようとするのはいつものことだ、もう驚きはしない。 長門も否定することはなかった。 「……いい」 「うん、こんな日はツイスター勝負ね!」 どんな日なんだよ。 「いいじゃない、健全な高校生にふさわしい遊びよ」 「それもいいんじゃないですか」 だから簡単に肯定するな、古泉。 「ツイスターなら私でもなんとかできますね」 健気にいう朝比奈さんの姿を見ながら、ツイスターのシートの上で朝比奈さんと複雑に絡み合う場面を想像して、古泉に同意せざるを得ない俺って、健全な高校生だよなぁ、やっぱり。 道中のコンビニで少しばかりのお菓子とジュースを仕入れた俺たちは、おなじみの長門のマンションにたどり着いた。 部屋に入ってみると、3LDKのマンションのリビングはいつにもまして殺風景だった。 「あれ、有希、いつのもコタツは?」 ハルヒの声で気づいた。リビングの真ん中にあるこの部屋で唯一の家具といっていいコタツ机がなかった。 「模様替えしようとして片付けている」 いや、まてまて。 「長門、どこをどう模様替えするつもりだ。コタツしかないだろうが」 そう言った俺を、少し怒った表情で眺める長門がいる。うーん、コタツ机の位置が1ミリ動いても部屋の模様替えになる、といわんばかりの表情だ。俺にしかわからん表情の変化だが。 「本体は和室にある」 振り返ると、4本足のコタツの本体部分は、長門の言うとおり和室においてあった。 「天板はあっちの部屋。重いので運ぶのを手伝ってほしい」 「キョン、行ってあげて。古泉君は和室のやつを運んで」 「了解です」 「わかったよ」 「みくるちゃんはお茶の用意してね」 「はーい」 語尾にハートマークがつく朝比奈ボイスを後ろに聞きながら、俺は長門について廊下を玄関の方に向かい、右手にあるドアへと進んだ。 長門のプライベートな部屋に入ったのは初めてだ。ピンク系のカーテンに、山のようにぬいぐるみでも置いていたらどうしようかと思ったが、やはり杞憂だった。 リビングと同様に、いたってシンプルなその部屋には、壁際にベッド、突き当りの廊下に面した窓には白いレースとベージュのカーテンがかかっていて、小さ目の整理ダンスと、丸いテーブルとその上に電気スタンドと読みかけらしいハードカバーが1冊あるだけだった。整理ダンスの上に、前のホワイトデーにお返しとして俺からプレゼントした熊のぬいぐるみがぽつんと置いてあるのが、唯一女の子らしい点だ。 整理ダンスの横の壁には、いつものコタツ机の天板が立てかけてある。 「運ぶのはこれか?」 部屋の奥側にいる長門を見ると、小さくうなずいていた。 結構重いはずなのに、長門一人でどうやって運んだのだろう?得意の情報操作でもしたのか、と考えながら、ふと、振り返ってみると、作り付けのクローゼットの扉が開いていて、ハンガーにかけられている服が視界に飛び込んできた。そこで俺は目を疑ったね。 「これ……全部お前のか?」 やはりうなずく長門。 壁一面の幅のあるクローゼットにかかっていたのは、全部北高の制服だった。夏服と冬服の違いを除いては、同じセーラー服だ。十五・六着はあるか。 「なんでこんなに持ってるんだ?」 「……毎日変えている。おかしい?」 うーん、制服ってもんは、そんなに毎日変えるものではないぞ、普通は。 だいたいシーズンオフにクリーニングに出して、次のシーズンまではクローゼットの中でお休みだ。さすがに高校生にもなれば、そんなに体のサイズが変わることもないから、シーズンごとに買い換えるやつもほとんどいないだろう。 「その日の気分か何かで変えているのか?」 「天気、気温、日照量、その日の行動予定、その他多くのパラメータを総合して、どの制服を着るか判断している」 「で、今日の天気の場合はそれになるのか」 「そう」 長門は両手を広げて軽く首を動かした。ちょっとばかりポーズをとっている……らしい。 「ちなみに昨日着ていたのはどれだ?」 「……この服」 と、クローゼットの右から3番目にかかっていたセーラー服を取り出してきた。 「このあたりの生地の状態が、昨日の状況に適していた」 はて、どう見ても同じなんですけど、長門さん。 宇宙人謹製のなんとかインタフェースの繊細な感覚は、一介の男子高校生たる俺にはわからん。わからんが、ちょっと聞いてみたくなったので、聞いてみた。 「……もし、明日、俺と二人だけで出かけるとしたら、どれを着てきてくれる?」 じっと俺の目を見つめた長門は、やがてクローゼットに手を伸ばすと、なんのためらいもなく、真ん中あたりにかかっている制服を取り出して、その華奢な体の前にあてがった。 「……これ」 す、すまん、俺のために選んでくれたんだろうが、やはり制服以外の何者でもない。 やや上目遣いで、でも、何かしらの自信というか、強い想いのこもった澄んだ瞳で俺をじっと見上げる長門は、やがてポツリとつぶやいた。 「……勝負服」 Fin.
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1226.html
第12話『長門 有希 の憂鬱Ⅲ』 急に天井が爆発したかのような勢いで割れた。 誰かがライダーキック風飛び蹴りでブチ割ったようだ。 そいつは勢いを保持したまま俺に向かってナイフを構えて突進してくる朝倉を蹴飛ばす。 朝倉は凄い勢いで5mくらい吹っ飛び、鈍い音を立てて壁にぶつかる。 壁の表面が崩れ、朝倉は瓦礫に埋もれる。 目の前の奴は誰だ?! しかし、コンクリートの破片、砂、埃、蛍光灯の残骸などで俺の視界は塞がれている。 まったく見えん。 ……次第に視界が晴れていく。 俺は驚く。 「―――な、なんでお前が来るんだ?!」 そいつはふん、と鼻息を鳴らして大きな声で言う。 「助けに来てやったわ!あたしに感謝しつつ、せいぜい死なないよう頑張りなさい!」 そこに現れたのは――――黄色いカチューシャをつけた長髪のハルヒだった――― さっきまでの緊張感や、なぜかハルヒが来た事による安堵感でなぜか泣きそうだ。 目に涙が溜まっていて漫画的な表現で言うとウルウルしているんだろうな。 そんな表情をしている俺を見て、ハルヒは笑う。 「く、くくく……ぷっ、あんた、そんなにあたしが来たのがうれしいの?!」 ハルヒは大声で笑い出す。 違う……違うんだ、俺はだな……。 「ぷくくく……、わ、分かったわ、……じゃあ、まずはこの状況をなんとかしなくちゃね」 ハルヒは横を見やる。俺も見る。 朝倉が動き出している。 瓦礫から抜け出し、制服についた砂埃を手で払っている。 朝倉は手に持っているナイフをダーツのようにこっちへ投げる。 俺の顔の手前でハルヒはそのナイフの刃を直接掴んで止める。 ハルヒの手から血が出る。 おい、大丈夫か? ハルヒはナイフを投げ捨てた後、 「バカねぇ……大丈夫に……決まってるじゃない」 と言った。言い終わった時にはもう傷口は塞がっている。 俺はそれを見て、この世界のハルヒは 『対有機生命体なんたらかんたらインターフェイス』なんだな、と感じた。 「朝倉涼子、あんたはあたしのバックアップなんだから、勝手に動いちゃ駄目よ」 「いやだと言ったら?」 「あんたの情報連結を解除するわ」 「やってみる?ここはあたしの情報制御空間よ」 「……情報連結の解除を申請」 ハルヒはその性格に似つかわしくない小さな声でボソ、と言う。 その瞬間、空間がぐにゃり、と歪む。 まるでコーヒーカップにたらしたミルクだ。 これは……いつまでもコーヒーに混じらないミルクだな。ぐにゃぐにゃしすぎだ。 朝倉の周りの空間に黄色やら青やらいろんな色をミックスしている色が着き、 それが次第に圧縮され、一本の不透明な空間の槍が出来る。 その行為を朝倉が数回繰り返した後、それらがいっせいにハルヒと俺に向かって襲い掛かる。 しかし、それらは全てハルヒの目の前の見えないものに叩き落とされる。 ハルヒの目の前にはまるで見えない盾があるみたいだ。 叩き落とされた槍は空間と同化し、無くなった。 俺は、と言えば……ハルヒの後ろでそれを眺めていただけだ。 その後も朝倉の空間の槍攻撃は続き、ハルヒはそれを防ぎ続ける。 ハルヒの右手が後ろの俺にのびてくる。 「あんたは動かなくていいわ」 ハルヒは俺の右腕を掴み、自分の胸に抱き寄せる。 俺は後ろからハルヒを右手だけで抱くような姿勢になる。 俺の手の平にはハルヒの懐かしい柔らかさが。まさかこんなところで理性の出番が来るとは。 お、おい!なんか当たってんだが! 「……あんた、後で覚えてなさいよ」 お、俺は悪くねぇよ! ハルヒは依然として朝倉の攻撃を防ぎ続ける。 しかし、そろそろハルヒもきつくなってきたんだろうな。 「あんた、しっかり捕まってなさいよね」 ?……あぁ……。 俺は後ろからハルヒに抱きつく。 「ちょ、バ、バカ!どこ触って……ってあぁもうっ!」 喋っている間に地面から槍のような混沌とした色をしている棘が飛び出てきた。 ハルヒは物凄い勢いでジャンプする。 俺はハルヒに抱きつく手に力を込める。 仕方が無い。じゃないと落ちてしまう。 俺は必死に自己暗示をかけつつ、どんどんと離れていく教室の床を見る。 っておい!天井に頭を打ちつけるぞ!?――――ってあれ? 上を見る。何も無い。 いや、正確には何かあるんだろうな。遠くの方に。 それは俺にはなんだか分からん。なんだかこんにゃくみたいな色をしていて、 不味そうな色をしている。いや、食う気は無いが。 ハルヒは急にストップをかける。 そして、ハルヒは俺を空中へと突き離す。 落ちるぅう?! 「ごめん!こうするしか!」 俺は落ちながらハルヒを見る。 すると、さっきまで俺がいた場所に―――ハルヒに向かって何かが飛んでいく。 それはハルヒの胴体を貫く。ハルヒは宙ぶらりんになる。 俺はその事実を理解するのに数秒かかった。 地面に落ちる。あまり痛くない。……砂? 見回すと辺りは砂漠のような風景をしていた。 俺は上を見上げる。 そこにはなんと―――― 朝倉の右腕から生える光の筋のような鋭い触手が―――― ――――ハルヒの胴体を貫いていた。 「ハ……ハルヒッ!!」 俺は気付けば叫んでいた。 「ごめんねぇ……涼宮さん」 朝倉は嫌味に言う。 この野郎……。 朝倉は右腕を元に戻し、ハルヒを解放する。 ハルヒは俺の真横にドサ、という音を立てて落ちて来た。 俺はハルヒの肩を揺さぶる。 「ハルヒ!ハルヒッ!」 「大丈夫……に決まってんじゃない」 ハルヒの胴体に空いた穴から物凄い量の赤い液体が出ている。 その赤くて生暖かい液体が俺の制服を真っ赤に染める。 俺は世界が改変される直前にあった感覚を思い出す。 このままだと 今度 は ハルヒ と二度と会えなくなるような気がする――― ―――のだが、それは俺の単なる気苦労だったようだ。 目の前のハルヒは呟く。 「終わり、ね」 「何が?あなたの3年あまりの人生が?」 まったく、朝倉も朝倉だな。 俺は先の展開を知っているので、思わず笑みがこぼれる。よくやった、ハルヒ。 「どうやらそうみたい……」 「……は?!ハルヒ!しっかりしろ!」 「さよなら……」 ハルヒは静かに目を閉じる。 俺は絶望の淵に立たされた気分に陥る。 ハルヒがいなくなったらそれこそ俺の終わりだ―――ー 「なあんちゃって」 ハルヒは急にパッチリと目を開き、 「情報連結!解除!……開始っ!」 「そんな……っ」 その瞬間、朝倉の体が足元から砂になっていき、崩れていく。 「あなた……崩壊因子をあらかじめ仕込んでおいたのね……。 どうりで、あなたが弱すぎると思った」 「やっぱしあんたはあたしのバックアップなだけあったわ!うん、優秀! しかし!あたしには到底、敵うはずないわ!」 俺の腕の中のハルヒは軽やかな口調で言う。 いつの間にか胴体の穴が塞がっている。 こんにゃろ、騙してくれやがったな……! しかし、ハルヒの顔はキツそうだ。 朝倉がいろいろと喋っているが、一度聞いたことのある内容なので無視。 いつしか朝倉はほとんど消えかけている。 「それまで、長門さんとお幸せに。じゃあね」 最後のセリフだけは違うみたいだな。 「それじゃあ、不純物を取り除いて教室を再構成するわよ」 砂漠の風景から砂が取り除かれ、その代わりにいつもの風景が戻る。 教室には夕日が差し込んでいる。 俺と、俺の腕の中のハルヒはその夕日の真っ赤な光を浴びる。 窓から外の風景を見ながら呟く。 「きれい……だな」 「あ、あたしのこと……じゃないわよね?」 どんな勘違いだ。 「違ぇよ」 「っ!……思わせぶりな態度取らないでよねっ!」 俺は平謝りして、その場をやり過ごす。 ハルヒを見る。本当にハルヒだ。 「な……何よ」 いや、なんでもない。 俺は右腕を動かし、ハルヒを少しだけ深く抱き直す。 「あ……あたしはちょっと疲れちゃったからこのままなわけであって……っ!」 分かった分かった。 ハルヒは何かに気づいたように、胸元を探る。 「あ……ブラジャーの再構成、忘れちゃったわ」 急にニヤニヤしだすハルヒ。 もちろん、俺が返す言葉は決まっている。 「……してない方が可愛いと思うぞ。俺にはブラチラ属性ないし」 「ば……バッカじゃないのあんたぁ?!」 「すまん、妄言だ」 俺は笑いを堪える。 「そ、そう!………たま~になら……いいわ…………タイプだし」 返す言葉が見つからないのにバカという言葉を使わないという、 そのハルヒらしくない言葉が俺の笑いに拍車をかける。 もう、堪え切れん。 「ぷっ、あっはははぁ!」 「な、何で笑うのよぉ!」 その瞬間、谷口がドアを開ける音がする。 「WAWAWA忘れ物~っておぅあ!」 時が、止まった……ように感じる。 谷口は涙を堪えて、ネクタイを直し 「すまん。……ごゆっくりぃ!」 ドップラー効果を残しつつ、去っていった。 正直、谷口なんて飾りです。偉い人にはそれが分からんのです。 なんて変な言い訳を考えつつ、俺は溜息をつく。 「大丈夫よ」 「何がだ?」 「朝倉は転校したことにするわ」 やっぱそっちかよ……。 次の日。 この水曜日はある意味、平和な一日だったと言えよう。 俺は今日も学校へ行き、普通に授業を受け、いつもどおりの日常を満喫した。 ただ、ハルヒがKYON団に入るとか言い出したのが非日常だったかな。 あと、谷口がいろいろとうるさかったので無視した。 「ねぇ、あたしもそのKYON団ってのに入れてよ」 ハルヒは昼休み中ずっと、俺の袖をぐいぐい引っ張ってやまない。 なんだかそこは長門っぽいな、と感じてしまう。 「長門に言ってくれ」 俺はそう答えたのだが、ハルヒは言って聞かない。なぜだ? しかし、ハルヒに上目遣いで見られるのもあれだな。 なんていうか……あんまりこういう言葉は使いたくないんだが………そそる。 結局俺を通して長門にその内容を伝えると、 「いい」 その一言で入団が決まった。 長門には名前しか伝えてないはず。 ……放課後になった。 部室に行って本を読むのがすでに日課になっている俺は、すぐさま部室へと赴く。 お、ハルヒが既に来ているじゃないか。本読んでるぞ。 ところでハルヒはいったいどこのクラスなのだろうか。 俺はそれが気になって仕方がないので直接訊いてみることにした。 読書をしている手を止め、 「なぁ、ハルヒ」 「何よ」 ハルヒもページをめくる手を休めた。 「お前って1年何組なんだ?」 「あ~、あたしはねぇ……6組」 やっぱ長門と入れ替わりか。 会話はほとんどそれだけだった。 そういや長門が団長ながらにお茶を入れてくれたりしたな。 さすがにあの人には及ばないか。 ……あの人?あの人って誰だっけ?名前忘れた。 メイド服が良く似合い、大きな胸がチャームポイントでありウィークポイントでもある、 あの2年の女子の先輩だ。 ……明日になれば思い出すだろう。 KYON団団長の長門の合図で部室が終わる。 帰りの道で古泉に会った。 閉鎖空間がどうたらとか言っていたが、俺は眠くて面倒だったので拒否した。 そしたら、機関の人間らしき人物がわらわら車から出てきて、 俺は拉致されかけたが、古泉が助けてくれた。 「あなたたち!僕のキョン団に何するんですか?!」って。 KYON団はお前のもんじゃないぜ、とかそういう感じのことを言ったら、 団 じゃなくて たん ですよ、とか言い出した。 意味が分からん。 団 だろ? さて、俺は今日も安らかに眠りにつける訳だが、 そろそろ俺の人生経験の中でもベストスリーには 入りそうなくらいの最大のイベントがやってくるはずだ。 そう、思い出したくもないあの事件だ。 あれは相手がハルヒだったから思い出したくないわけで、長門だったら大歓迎だ。 そういえば、この世界の長門は俺のことどう思ってるんだろうか。 好意はありそうな気がせんでもないな。 俺としてはあったら喜び、なければ落ち込む程度だが。 そんな甘いことを考えながら寝る夜は、当然甘かった。……気がする。 次の日。 朝から長門の反応がいつもと違うことに違和感と嫌な予感を覚えつつも、 それでも時は過ぎていく。 授業中は長門への違和感などなどについて考えていた。 ちなみに朝、長門はこんな反応をよこした。 「よぉ、長門」 「……」 無言でうなづく。ここまではいつもどおりだ。 「あなたは……わたしといて……楽しい……?」 この質問に違和感を感じた。 「もちろんに決まってるじゃないか」 「……そう」 もしかしたら、この返答が長門のあの空間を生み出すんじゃないか、と言う答えが出る。 俺は後悔すると同時に心配してくる。 もしかしたら『俺が長門といるのが楽しい』という返答を貰った長門は それ=『ずっと二人だけでもいい』という返答と受け取ったかもしれない。 ……なんてのは考えすぎか。 昼休みは、ハルヒが妙に絡んで来たのを覚えている。 そんなに俺の袖が気に入ったのか? 放課後。 長門はやはりどこかおかしい。 部室へ二人並んで歩いて向かっている途中で珍しく自分から話しかけて来る。 「……わたしは」 「……?」 「わたしは生まれてきて15年間、一度も友達を作ろうなんて考えたことなかった」 それから、長門の独白が始まった。 「……違う。 確かに、作ろうかな、と思った時期もあった。 世界には数え切れないほどの人がいる。 きっとわたしに合う人もいるんじゃないか、と。 そういう淡い期待を持っていた。 しかし、わたしに合う人なんていなかった。 わたしはわたしのことを理解してくれるひとを探してた。 でも、見つからない。 15年間、ずっとわたしはひとりで苦しんでいた。 この北高に入る頃にはわたしはもう一生を一人で過ごす決意をしていた。 でも、あなたの顔を見て、なぜかわたしはその決意が揺らぐ。 なんで。あなたの顔を見ると心拍数がわずかだけど上がる。 わたしはあなたに恋をしている気はまったく無かった。 入学当時、あなたも今までのひとと同じように 興味本位でわたしに話しかけてくる人だと思っていた。 でも、体は勝手に反応してしまっていた。脈拍がそれを教えてくれた。 そして、あなたの一言で気づいた。 わたしがあなたに……恋をしていたことを。 その一言はあなたがわたしに本のタイトルを訊いた一言。 心臓が止まる、と思うくらいどきどきした。 あなたは、わたしのことを理解してくれた。 だからわたしもあなたのことを理解したい、と思ったからKYON団を作った。 団長になれば自然とあなたとの接触も増える。だから、なった。 あなたがわたしを襲った時。 正確にはわたしが襲わせたのだけれど、あなたは嫌がる様子も見せなかった。 あぁ、彼もわたしのことを嫌なひとだとは思ってないんだな、と 感じて心の中ではすごく喜んでいた。 わたしはあの時の写真は今も大切にしている。 ……その写真で自分を慰めたりもした。 あなたが土曜日のわたしの誘いを受け取った時。 わたしはあなたにデートじゃない、と言ったけれど、わたしはその気だった。 できれば手を繋ぎたかった。 本当は図書館なんてあなたが退屈な場所なんかではなく、 遊園地……など、あなたと一緒に楽しめる場所が良かった。 だから、デートじゃないと言ってしまったことを物凄く後悔した。 あなたがわたしを自転車の荷台に乗せてくれた時。 わたしはあなたの背中に抱きついて、あなたの匂いを嗅いだ。 あれは、わたしの好きな匂い。 ……そうじゃない。 ただわたしが好きな匂いじゃなくてわたしが好きな人の匂いなんだ、と再確認した。 ……だから、この匂いは好きな匂い。 あなたの背中は広くて頼もしかった。 あなたがわたしの家に泊まった時。 わたしはものすごくどきどきした。 あなたを見ていられないほどどきどきした。 心臓がパンクするんじゃないかな、と思った。 一緒の布団に入ったときはとうとうするんだ、と思った。 でも、やっぱりあなたは……いくじなしだった。 朝起きてあなたをまじまじと見ていたらあなたが起きて、 わたしはすぐに眠っているふりをして、 あなたがどうするか見ていた。けれど、やっぱりあなたはいくじなし。 あなたが昨日涼宮ハルヒという名前を出した時。 わたしはすごく動揺した。 思わず入団を許可したけれど、本当は二人きりの時間が減るから嫌だった。 休み時間にあなたたちが話しているのを見て、ほんの少し、腹が立った。 あなたが今日の朝わたしに話しかけてくれた時。 わたしは決心した。あなたにわたしの気持ちを打ち明けよう、と。 じゃないと涼宮ハルヒにあなたをとられる気がしたから。 でも、この告白はもっと前からしたかった。 彼女はわたしにチャンスをくれた。だから感謝してもいい。 ……わたしは、ずっとあなただけを見ている。今までずっと。そして、これからも。 だから……」 長門は一息ついて、俺をしっかり見据えて言う。 「……好きです。わたしと付き合ってください」 さすがの俺でも次、どんな内容の言葉が来るかは分かる。 でも、驚いてしまう。 長門が俺に告白するなんて。 どう対応すればいいんだ?分からん。分かるはずも無い。 俺はこのような告白される状況は……ない、事も無いが……。 今はあの時と状況が違う。 俺は確かに長門が好きだ。 でもそれはこの世界の長門じゃなく、元の世界の長門であってだな。 俺はこの世界の長門に元の世界の長門の影を当てていた、というか。 この世界の長門も好きかもしれない。いや、好きだ。 でもこの世界の長門に「好き」という感情を抱くことを許すと、嫌な予感がするんだ。 好きだ。でも、好きでいちゃだめなんだ。 このようなことを直接長門に言えるはずもなく、俺はただただ、返答に困っていた。 だんだんと長門の表情が暗くなる。 俺がはやく返答をよこさないから、 俺がお前のことを好きじゃないと勘違いしているんだろう。 そんな焦りの気持ちから、俺はいつかと同じ過ちを繰り返す。 「長門、俺はお前のこと、嫌いじゃないんだが……」 この一言から始める癖があるようだ……。 ちくしょうッ!俺のヘタレ! 結局自分が嫌われたくないから優しい言葉をかけてるだけじゃないか! こんな自分に自己嫌悪する。 長門は嗚咽を漏らす。 次第に声をあげて泣き出した。 大粒の涙が長門の頬を伝う。 俺は必死になってその涙を止めようと、表面だけの優しい言葉をかけ続ける。 仕方が無いんだ、許してくれ、などとは言わん。 「好きだ」とか「愛してる」だとかの言葉が使えないだけで、 こうまで俺は無力なのか!? 目の前で泣いてる女の子一人の涙も止められないのか……っ!? 長門は何も言わずにその場を走り去る。 まるでその背中は―――― ―――俺に「着いて来るな」と言っているようで―――― ――――俺はその場に立ち尽くすしか無かった。 …………ごめん……長門………。 その後、俺は部室にも寄らず、家に帰った。 俺はその夜、一人で泣いた。 何を言えば正解だったのか、なんて答えは出るはずも無かった。 ただただ、長門の思いに答えられなかったことを悔やむ。 もしも、この世界が……本当の世界だったならば、どれだけ悩まずに済んだだろうか。 そんなことを考えながら、俺はいつの間にか泣きつかれて、寝てしまった。 ……きて……起きて……起きて……。 誰かが俺の頬っぺたをぺちんぺちんと優しく叩く。 ……もしかして?! 俺は体を起こす。 ……やっぱりか……。 長門が訊いてくる。 「ここはどこ」 「俺にも分からん」 俺は長門の顔が真正面から見れない。 あいつは俺の顔をまっすぐ見てくるのに。 「長門。ちょっと待っててくれ」 「……」 長門は無言で頷く。 俺は、校内を歩き回り、古泉を探した。 ……赤い玉すら出てこない。 パソコンがあるわけでもないのでハルヒとも連絡が取れない。 ……どうすりゃいいんだ……。 「僕はあなたに任せますよ」 「うぉ!?……古泉、いたのか。」 俺の背後に赤い玉が浮かんでいる。 「えぇ。今さっき来ました」 「時間は無いんだよな?手短に説明頼む」 「……分かりました。」 やっぱり時間は無いようだ。もうすでに赤い玉なのだから。 「どうやら長門さんは世界を変えようとしているようです。 ……あなたと二人きりの世界に、ですかね」 なんでだよ。 「おや、それについてはあなたが一番ご存知のようですが?」 ……そうかもしれんな。 「もう少し喜んではどうですか?あなたは神と選ばれ、唯一生き残ることが出来るんですよ?」 ……喜べるのか? 「えぇ」 二人だけだぞ?どうすりゃいいんだ。 「産めや増やせていいじゃないですか」 そりゃ……そうだが。 「ハハハ、もうその気でいるんですか?」 う、うるせぇな。 「僕としてはあなたに戻ってきて欲しいですねぇ。……まだしてないこともありますし。」 ……それはなんだ。 「それは、秘密ですよ。戻ってきたら教えて差し上げますよ?」 そうか、楽しみとして取っておいていいもんなのか? 「あなたにとっては分かりませんが、少なくとも僕にとっては」 ……やめとく。 「……それは残念です。……おっと、そろそろですね」 ハルヒから伝言は無いのか? 「あぁ、ありますよ。忘れてました」 ……内容は? 「『帰ってきなさい』……以上です」 またあいつもあいつらしい伝言だな。 「そうですね……では」 じゃあな。 「またな、と言って欲しいものです」 ……またな。 「……」 古泉は黙って消えていった。なんか後味悪いな。 ……さて。神人が出てきやがった。 校舎を破壊し始めやがった。 長門の元へと戻らなければ。 「おーい、長門!」 長門はその場でうずくまっている。 しかし、俺の声に反応し、体を上げる。 「……待ってた……あれは、なに」 「……わからん」 「……わたしには、あれが不安の塊に見える……」 俺は長門の手を引き、校庭目指して走る。 ……長門。お前はずっと不安だったのか? 俺と会うまでの15年間は、俺にはとてもじゃないが想像できるものじゃない。 だが、その積年の不安を俺は解消してやりたい。 しかし。しかしだな。 俺にはそれが出来ない……。 何度も考えていると自分への言い訳のように思えてくる。 言い訳でもいい。なんだっていい。 「俺は、元の世界の長門に会いたい!SOS団長のハルヒにも! ニヤケ顔が嫌で仕方なかったが、あの古泉にも! メイド服で可愛らしいあのお方にも会いたい! そこにこの世界へと改変しちまった有希もそこに加えてもいい! 俺はまだ、あの世界でやるべきことがたくさん残ってるんだ!」 「……?」 長門は意味が分からないようだ。 俺は後ろを振り向く。 神人が5,6体ほどであの時のように校舎を破壊し尽している。 ……俺は元の世界へと帰る方法を思いつく。 しかし、ギャンブル要素が多すぎる。 元の世界どころか、もっと大変な世界になってしまうかもしれない。 でも、それしか方法は無さそうだし、その方法をやるチャンスは今しかないだろう。 今を逃すと一生、元の世界へ帰れない気がする。 だから、俺は言う。 「長門、実は俺な、この世界の人間じゃないんだ。 お前は知らないだろうけど、その世界ではお前はいわゆる宇宙人なんだ。 まぁもっとも、宇宙人、なんて簡単な名前では無いがな。かなり長かったはずだ」 長門は驚く。目がいつもより見開いている。 「その世界では、俺とお前は付き合っている。いわゆる相思相愛ってやつか? だから、この世界のお前にあいつの影を合わせちまった。本当にすまん……。」 長門はさらに驚く。 気がつけば、俺と長門は校庭にいて、神人は校舎を破壊し終えかけている。 俺は立ち止まる。 「で、この世界とその世界は同じ世界なんだ。 俺は以前の世界に戻りたい。 でも、そうしたらこの世界は無くなってしまうことになるな。 それでも、俺は俺の世界に戻りたい。 ………俺の世界の 長門 に会いたいんだ!」 長門は俺の言葉を真剣な瞳で聞いている。 俺は長門の肩を掴む。 「……なに」 「俺、実は 対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス 萌えなんだ」 「……」 「いつだったかの俺の世界でのお前の真っ白なワンピースは そりゃもう反則的なまでに似合っていたぞ」 「……そう」 俺は長門の肩を抱き寄せ―――キスをした。 その瞬間、いつかのような感覚が俺の身を襲った。 空気の波のようなものが俺に押し寄せる。 目の前が真っ白になり、無重力が俺の体を支配する。 そして、その無重力から解放され、地球のやさしめな重力が俺の体を押さえつける。 ……ここはどこだ? 真っ暗闇の公園。 ……元の世界に帰って来たのか? 「おかえり」 背後から聞こえる。 …… 長門 の声だ。 俺は振り向く。 「ただいま、長門」 そこには、 俺が好きだと胸を張って言える 長門が俺の目の前に立っていた。 ――――目に涙を浮かべて。 第12話『長門 有希 の憂鬱Ⅲ』~終~ キョン「次回予告! とうとう元の世界に帰って来れた俺!」 長門「本当に……よくやった」 キョン「長門!」ギュッ 長門「……次回の主人公は……わたし」ギュ キョン「……え?」 長門「……さみしかった」 キョン「……長門……」 長門「第13話『 長門 有希の憂鬱Ⅰ』」チュ キョン「……乞うご期待!」 次回は伏線を回収するぜ 第13話
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/119.html
提督のいない鎮守府は、静かだ。 だが、かれが遠洋に出撃しているがゆえの不在の静かさと、“いない”ゆえの空席の空しさは、 どう思いを馳せてみても違う。 鎮守府筆頭が空席となる理由は、これまた様々である。 いわゆる帝国海軍における人事によるもの、提督が何らかの理由により円満な退役を見たもの。 このふたつのいずれかであれば、艦娘たちは程度の差こそあれど、去った提督を惜しみ、新たな提督を心待ちにする。 今までに何人もの提督が鎮守府に赴任してきたが、どうしても“現在”の提督が一番愛しく思えてしまうようなのだ。 しかしながら、今鎮守府にのさばる沈黙の重たさは、先に述べた状況のどちらでもない。 『提督はボラボラの浅瀬で、紅珊瑚のトナカイの夢をみておられますよ』 高雄が──満身創痍で、唯一南洋から帰還してきた高雄が、年若い妹というべき駆逐艦たちに、 たった一滴の涙を見せて、そう言い聞かせていた。 高雄は提督の秘書で、座乗艦だった。その、南洋に赴く日に限って、かれは、高雄に乗らなかった。 大事な同輩と、愛する男を南の海の底に置いて、それでもたったひとりで高雄は、鎮守府に帰ってきた。 長門の胸中に沸きあがるのは、あれだけ艦娘をとりこにしておきながら、 あっさりくたばった提督への、嫉妬にも似た怒りの念だ。 墓があったら眼前にはったと正座して、明けてから暮れるまで、もの言わぬ石に延々と説教を垂れていただろう。 死は絶対だ。死は不可逆だ。戦場に散り靖国に咲くのが武人の誉れだというならば、 恥を晒しても生きて帰ってくるのはせめて──せめて、男の甲斐性とかそういうたぐいのものではないのか。 憤懣やるかたない長門の足元で、ぱきりと小枝が折れた。 その時だった。 幾分か上擦った、本職の海の男たちにはだいぶ頼りない、耳慣れた五省を唱和する声。 鎮守府にいるのは、提督を始めとする本職の軍人だけに留まらない。 事務屋もいれば、酒保の店員もおり、珍妙な猫もたまにうろついていたりする。 長門!と呼びかける声は、唱和の声に明るく重なった。入渠を終えた金剛がそこにいて、こちらへ手を振っている。 傍らで学び舎の窓を見上げているのは、やはり入渠を終えた比叡だ。 「江田島の士官候補生デース! 未来の提督たちネ!」 「実地学習、だそうです。みな、一度は実際の艦を見て、自らがすべき職掌の重みを体感せよ、とかで」 鎮守府にあまり覚えない、そのものずばり若い娘の声に注意を引かれたと見えて、ひょこりと白い制帽が窓から覗く。 するとたちまち、そこは士官候補生たちが、我も我もと鈴なりの有様になった。 金剛は気安く笑顔で、諸手を挙げてそれに応えた。比叡は比叡で、そんな彼女を微笑ましく見つめている。 「──長門!」 そして、今にも落っこちそうなほど窓から身を乗り出した少年──まだ少年にしか見えない “未来の提督”の声が、まっすぐに長門の鼓膜を打った。 勢い余って、その頭から制帽が落ちる。晴れた空に花弁のようにくるくると舞って、 楽しげにスウィングして、果たしてそれは──推し量ったごとく、過たず長門の胸に、ぱすんとぶつかった。 「長門! ナイスキャッチー!」 「……ちょっと、金剛ねえさま! 少しはものの言い方を──」 「比ー叡ー、ワタシを誰だと思ってるノ? 英国で生まれた帰国子女! 超弩級戦艦! 金剛デース!」 「もう、ねえさまったら!」 制帽を落っことした粗忽者は、それでも笑顔で、三人の艦娘に手を振っている。 鬼より怖いと認められる教官も、提督が不在の今、艦娘たちに『遊んでおらんで仕事をせえ』とは言いづらいのだろう。 なんとも微妙な、苦しょっぱいような顔で、教卓付近の窓から顔を出している。 長門もまた、不安なような、それでいて期待に似ているような、教官の心中とだいぶ通じるところのある心持で、 未だに手を振る少年を見上げていた。 鎮守府が、新しい提督を迎える日も近いだろう。一月や二月ではないかもしれないが、年単位ではないに違いない。 それまできっと艦娘たちは、本物の人間の娘たちを真似て繕い物に精を出してみたり、 ぼんやり海を眺めたり、まだ見ぬ提督に思いを馳せたりして──過ごすのだろう。 その、いずれ来たる提督が、自分を座乗艦に──秘書艦に──ひいては最愛の思い人にしてくれることを、待ち望みながら。 新たに鎮守府に着任した提督は、痩せっぽちの洟垂れ小僧だった。 黒縁眼鏡。生えたのだか生えてないのだか、たまにまばらな無精髭。 “着られている感”がありありな白の詰襟。敬礼は、今までの提督たちと引き比べても、全くのどへたくそ。 洗練されてもおらず、江田島でどうにか作られてしまった濫造提督、というべきありさま。 煙草は嗜まない。酒は猪口の糸尻の量を啜る程度。食も細い。夜になると少し咳き込む癖。 ほとんど雪山のような高地で療養したこともあったんだよと聞かされて、 身の寒くなる思いをした艦娘もあったが、寛解したと笑顔で断言されては追及もままならぬ。 そして、あろうことかその新米提督は、長門を秘書兼座乗艦に選んだ。 気安いわけでもなければ扱いが容易いわけでもない、ウォーシップという呼び名そのものを体現したような長門を。 「ああ、長門それから」 「……なんだ」 そして、あろうことか彼は──いつのまにか少年から青年へと成長した提督は、ある夜、長門にこう告げた。 「きみに、──きみに夜伽を命ずる。本日フタイチマルマルで執務室に出頭するように」 --------------------------------------------------------------
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1224.html
第10話『長門 有希 の憂鬱Ⅰ』 サンタクロースをいつまで信じていたか、 などというたわいも無い世間話にもならないくらいのどーでもいいような話だが、 それでも俺がいつまでサンタなどという想像上の赤服じーさんを信じていたかというと これは確信を持って言えるが最初から信じてなどいなかった。 小さい頃、俺は未来人・宇宙人・超能力者や、 またはそれに準ずる何かの存在を認めたかった。 だが、いつまで経っても俺の目の前には出てこない。 もしかしたら存在しないんじゃないかという、 俺の中の疑問の答えが「存在しない」になった頃、つまり俺が中学を卒業する頃には、 俺はもうテレビが組むようなUFO特番などはそう熱心に見なくなっていた。 いるワケねー……でもちょっとは居て欲しい、 みたいな最大公約数的な事を考えるくらいにまで成長したって事さ。 学校に着いた。 すると俺と他の俺と同じクラスの奴等はすぐさま体育館へと連行された。 例によって例のごとく、声が活き活きとしている校長が出す、 強制睡眠音波にやられかけている俺は、眠りそうになるのを必死に我慢する。 それにしても、なんでどこの学校の校長もこんなに長いこと話をするのが得意なんだ? 長い話をするのが好きなのか? 好きものこそ得意なれ、とかそんな感じのことわざが あったような気がしないでもないが、校長はそれにあてはまるんだろうな。 いつの間にか校長が出していた音波にやられ、 すっかり寝ていた俺は閉会の言葉を聞いて起きた。 みんなが教室へ移動する。俺もそれに着いて行く。 教室に入ると担任らしき人物があいさつをした。 岡部という名前らしい。どうやらハンドボールに相当熱が入っているようだ。 次に、もはや社交辞令と言っても過言ではない自己紹介が始まった。 それぞれが自分の名前を言い、何の変哲も無いような趣味やらなんやらの一言を言って終わる。 もちろん俺もそれに乗じたさ。 こういうのってさりげなく緊張するよな。 ただ、自分の名前を言って、テキトーに何か言って、それで終わりだ。 俺の順番も終わり、後は聞くだけか。 極々一般常識から考えるとフツーな自己紹介を聞いていたら、 なんだか無機質な声が聞こえてきた。 「長門有希」 おいおい、名前だけかよ。無表情だしなんか無機質なやつだな。 しかし、次のセリフで俺の考えは180度変わったと言っていいだろう。 「ただの人間に興味はない。 異世界人、未来人、超能力者がいたら、わたしのところに来て」 それだけ言うと、すぐ席に座ってしまった。 ……は?もしかしてこいつあれか?電波な人か? 偶然だったが、そいつは俺の左隣の席だったので 後の奴の自己紹介を聞くことなんかそっちのけで長門有希さんとやらに話しかける。 「なぁ……さっきの自己紹介のアレ、どこまで本気だったんだ?」 呼びかけの言葉で俺に気づいた長門有希は、首だけ俺の方を向いた。 「なに」 いや、だから異世界人がどうとか 「……あなたは異世界人……?」 ……違うけどさ。 「……」 ……いや、なんでもない。 「そう」 なぜかこいつからは感情が感じられないのだが……。 機械人間か、と思うくらいに……。 俺は結局それから1週間ほどは長門有希とは一言も喋らなかった。 あ、一度だけ消しゴム拾ってくれたな。 昼休みに一人で弁当を食うのも別に苦痛とまではいかないが、 さすがに寂しいものがあるので誰か友達と弁当を食う。 その友達と言うのは俺が中学のとき比較的仲が良かった国木田と、 たまたま席が近かった谷口という奴である。 長門有希の話題が出たのはその時である。 「お前、あいつが自己紹介をした直後、話しかけたな」 「あいつ……?あいつって誰だ?」 「長門有希、だ」 「あぁ。そうだな」 「何かワケも分からんうちに会話が終了してたろ」 あぁ、確かに言われて見ればそうだな。とりあえずうなずく。 「もしあいつに気があるんなら、悪いことは言わん、やめとけ」 「なんでだ?」 俺は気があるわけでもないのに聞き返す。 「あいつの無表情・無感情っぷりは常軌を逸しているからな」 「まぁ……確かにそうだな。それだけか?」 「あぁ……それだけだな」 それで俺の会話は終了した。あとは谷口と国木田の漫才みたいな談話を聞いて、 うなずいたり相槌うったり笑っていただけだ。 一方、俺が絶賛注目中の長門有希は、 見た目が(少なくとも俺の目には)可愛いと言うだけで何も知らない女子が寄ってきている。 しかし、その女子らも長門有希の無表情の餌食に……。 「ねぇ、昨日の9時からのドラマ見た?」 「見てない」 「何見てたの?」 「見てない」 「何してたの?」 「読書」 長門有希はただ弁当を食べたいだけなのにな。 あれじゃ逆に可哀想だ。 「趣味は何なの?」 「……静かにして」 「……」 話しかけていた女子らはシュン、としてしまった。 そりゃそうだろうな。本人達は良かれと思ってやったことだろう。 さて、俺がその長門有希の存在の奇抜さについて知ったのはそれからしばらく後のことだった。 しかしながら、このころから徐々にそれの片鱗を見せていた。 俺は一刻も早くそれに気づくべきだったのだろうな。 と言うわけで片鱗その1。 休み時間に読む本が毎回変わる。 いったいどのくらいのスピードで読めば、 10分そこらの休み時間で一冊の本を読み終わるんだ? 俺の休み時間はたいてい、自分の席に座ったまま休めるという状況に甘んじて、 その名の通り机に突っ伏して休んでいるわけだが、 長門有希がページを捲くる音が相当な数聞こえる訳だ。結構なスピードで。 本当に読んでるのか?文庫本だぞ?ざっと見て200ページくらいはまずあるよな? しかも読んでる本がいつもSF小説と来たもんだから、 休み時間のこいつの頭の中には宇宙が広がりまくってることだろうよ。 さらには俺が以前、休み時間に話しかけてみたところ、 読書中のため見事に無視されてしまった。 一言くらい返してくれてもいいのにな。 続いて、片鱗その2。 授業中は常に俺をじろじろ見ている。 やめてくれ、いったい俺が何をしたって言うんだ? 首ごと俺のほうを見ている。 しかし、俺が長門有希の方を振り向くと、すぐ前に向きなおす。 ……なぜ? 試しに授業中、逆に俺がずっと見ていると、 長門有希の視線は時々、こっちを気にしているようにちょろっと見てくる。 そしてすぐさま視線を元の位置へと戻す。 いや、本当になんで俺を見ているんだろうか? いっそ話しかけてくれればいいのにな。俺はビックリするだろうけど。 片鱗その3。 学校が終わるとすぐさまどこかへ行く。 いったいどこに言ってるんだろうか? しかし俺には長門有希をストーカーする勇気など無いので、 どこに行ってるかは知らん。本人に聞こうにも話が切り出せない。 片鱗その4。 弁当の量がハンパ無く多い。 俺の弁当の2、3倍はあるぞ? いったい体のどこにそんなにたくさん入るんだ? ていうか、そんなにたくさん食ってるのに、 全然太る気配さえしないのはなんでだろうな。 片鱗その5。 俺が体育の時間に谷口の朝倉話を聞きながら観察した。 長門有希のブルマ姿は可愛い。 ……じゃなくてだな、運動能力がズバ抜けて凄い。 見た感じひ弱そうなのにな。 ……今度の体育の時間にもう一度じっくり観察せねば。 いや、別にやらしい目で見る気は無いぞ?……建前では、な。 まぁ、今では朝のあいさつくらいは交わすような仲(これが 仲 と言えるかは断言できん)に なったのである。俺だけがなったつもりなだけかも知れんが。 そんなこんなでいつのまにやらもう5月。 ちなみに月が替わる直前、席替えをした。 俺は窓際の最後列から2番目というなかなかのポジショニングをゲットした。 ……長門有希はその後ろだった。 すでに去ってしまったゴールデンウィークは、 家族とばあちゃん家に行くという、まさに平々凡々な結果に自分でもなぜか落胆し、 ゴールデンウィーク明けの1日目の登校の強制ハイキングロードを満喫しつつ 面白いことは無いかと必死になって探していた俺なのであった。 しかし、本当につまらないな。 何か面白いことが道端にでも落ちてないか……? 「よう、キョン」 谷口だ。 「お前、ゴールデンウィーク何した?」 ……ここから先の会話は省かせてもらう。 なぜなら、俺の過ごし方と谷口の中身の浅い恋愛話を喋っていただけなので、 別にあってもなくてもどうでもいいのだ。 教室に入ると、長門有希はとっくに俺の隣の席で読書を始めており、 すでにもう1時間目の準備は済ませました、とでも言っているようだ。 ……たぶん、俺は魔が差してしまったんだろうな。 朝から面白いことは無いか、とか考えていたからだ。 いつもの俺なら、「おはよう」とかあいさつして、 長門有希は無言でうなづくだけなのにな。 俺は長門有希にこんな質問を投げかけた。 「何読んでんだ?」 長門有希は本の背表紙をこちらに向け、本の上からチラッと俺の顔を見た。 どうやらまたもやSF小説のようだ。 いつもと違うのはそれが文庫本ではなく、ハードカバーの本だったということだった。 面白い? 「ユニーク」 どういうとこが? 「全部」 ……本が好きなんだな。 「わりと」 そうか……。 「……」 ほんの少しだけ間を空けて答える長門有希。 会話の途中で眼鏡の耳にかけるところに繋がる部分を少しだけ上に戻した。 なんか可愛らしいな、この眼鏡をひょい、と上げる仕草は。 そんな仕草にちょっとだけ俺はやられたんだろうな。 またもや言ってはならないような、そんな雰囲気の言葉を投げかけてしまった。 いや、投げたと言ったほうがいいか? 「案外、可愛いんだな」 「……そう」 長門有希の頬がほんの少し……そう、ほんの少しだけ、赤くなる。 それからだったか。 俺が長門有希のことを「長門」と呼び捨てにしだしたのは。 休み時間に谷口が話しかけてくる。 「おい、キョン。お前どんな魔法を使ったんだ?」 「魔法ってなんだ?」 「俺、あいつがあんな表情したの初めて見たぞ」 後ろからひょっこり国木田が現れた。 「昔からキョンは変な女が好きだからねぇ」 おい、誤解を招くようなことを言うな。長門が俺の後ろだって事を知らんのか。 そもそも、まだ好きじゃねぇ………と思う。 「そもそも、だ。お前にだけあいつがすこしずつ感情を開きつつあるのが気に食わん」 「そうか?」 「どちらかというとキョンも変な人間にカテゴライズされるからじゃないかな」 「知るか」 「あたしも聞きたいな」 朝倉涼子だ。このクラスの委員長で、谷口曰く、 「クラス一……いやッ!学年一だッ!!あのッ!美しさッ!」 谷口が本当にこんなことを喋ったのかどうかは覚えていないが、 形容するならこんな感じの勢いだった。息が荒くなるくらいだったな。 確かに朝倉は綺麗だ。学年一と言われて素直に納得が出来るからな。 「あたしがいくら話しかけても、心を開いてくれないの。何かコツでもあるの?」 解らん。 「ふーん。でもあたし安心しちゃった。長門さんもあんな表情するなんてね」 おいおい、長門を何かと勘違いしてないか? 「長門さんは長門さんよ」 肯定の意見しか出せないような言葉を朝倉が言う。 その直後岡部が入ってくる。授業だ。 授業中、やはり今日も今日とてこちらをジロジロ見つめてくる長門。 授業が終わった。なんとなく話しかけてみる。 「何か面白いことないか?」 「……」 無言だが確かに俺の話は聞いてくれてるようだ。 本は机に置いて、俺だけを見ている。なんか気恥ずかしい。 こいつは人やものを見るという点では物凄い能力を発揮するな。 「実は俺、小さい頃はまだ、長門が自己紹介で言ったようなやつらがいると信じてたんだ」 「……いる」 「そうかもな。実際には隠れてるだけで、探したら出てくるかもな」 「そう」 「いたら面白そうだよな」 「……ユニーク」 こんな感じで俺らの休み時間の会話は終わった。 もしかしたらこの会話がネタフリだったのかも知れないな。 次の授業中に長門が急に俺の服を引っ張った。 俺は椅子ごと後ろに倒れかけ、長門の机で頭を打った。 「痛ぇっ!」 俺は立ち上がり、長門のほうを見る。 「……強すぎた……ごめんなさい」 「……まぁ、いい」 「……いいこと」 「それがどうしたんだ?」 「……思いついた」 長門は俺を見上げる形で言った。 「部活を……つくる」 俺は黙って席に座る。 そろそろ先生が何か言いたそうだった気がするからな。 「そうか」 「そう」 授業が終わるなり、長門は俺に「着いて来て」といって俺を教室から連れ出した。 階段の踊り場に着く。ここらしいな。 「わたしたちで部活をつくる」 なんでだ? 「あなたが退屈そうにしていたから」 それだけか? 「……わたしも退屈」 ……そうか。 ―――昼休み。 俺はまた「着いて来て」などと言われてほいほい着いていった。 着いたのは文芸部室。 「ここはわたしが文芸部として使っている部室」 「ここを使うのか?」 「そう」 ていうか、長門、お前文芸部員だったのか。 「他に部員は?」 「いない」 「……そうか」 結局いつの間にか俺もその新しい部活の部員になってるようだ。 仕方が無いか。俺が望んだことを長門は叶えてくれようとしているのである。 ―――放課後。 俺は今度は「先に行ってて」と言われ、一人寂しく教室で待っている状態だ。 何もすることが無いので本でも読もう。 ……面白そうな本……っと。 ―――!俺の直感にピンと来た。 この本は……なんだろう、なぜか不思議な感じがする本だ。 題名は……「ハイペリオン」……か……。 パララ、とページを捲くってみる。 何かがひらりと地面に落ちた。 なんだろう、何かの紙か?……栞だ。 何か文字が書いてある。 『わたしはキョンがすき』 なんだこりゃ。……イタズラか? 俺は地面に落ちた栞を拾い―――― 改変される以前の記憶を取り戻した。 ……なぜだ? 有希はなぜこんな世界を望んだんだ? 有希がまるでハルヒみたいじゃねぇか。 ……そういうことか?! 有希は「涼宮ハルヒは存在させる」と言った。 それは、自分の中に存在させる……というか、 有希がハルヒになる、とでも言ったほうがいいのか? つまりだな、有希はハルヒの能力を手に入れた代わりに、 インターフェイスとしての力を失ったということだ。 記憶も無いらしい。 ……とりあえずこの世界では長門有希は一人しか居ないわけだから、 「有希」じゃなくて「長門」と呼ぶか。 なんかそっちのほうがしっくり来るしな。 ……で、なんで栞で記憶を取り戻せたんだ? 元の世界の長門の仕業か? ……そうか。そうだったのか。 長門は最後に「し、お、り」と言ったのか。 でもなんで栞なんだ? 俺はそれを思い出すと同時に長門との別れをも思い出す。 涙が出てくる。……長門……。 しかし、栞が入っているということは誰かの読みかけということなので、(たぶん有希……だな) 栞を元の位置に戻し、本を閉じる。 その本を本棚に直し、長机にかけてあるパイプ椅子に腰をかけると、 部室に何も無い事が妙に懐かしく感じられた。 俺は窓辺に目をやる。 元の世界の長門がいつも本を読んでいた場所だ。 今は椅子すら置いていない。 あそこで本を読んでいる長門の姿はもう見れないのか……? 俺はまた少し涙ぐんだが、足音が聞こえたのであわてて袖で拭く。 どうやらこの世界ではまだ何も知らないフリをしていたほうが良いようだ。 そっちの方が都合良さそうだし、そもそも、 真実を言っても誰も振り向いてくれないだろう。 振り向いてくれるのは……古泉くらいか。 朝比奈さんは……。 いや、いいんだよ。あのお方は萌え専用のSOS団マスコットキャラなのだ。 それだけで十分だ。文句言う奴は俺が殴ってやる。 長門が朝比奈さんを連れてやってくる。 「……誰だ?その人?」 朝比奈さんではないか。 まさか長門が連れてくるとはな。 朝比奈さんはすごく怯えている。 「朝比奈みくる」 「なぜ連れてきた?」 「可愛いから」 「……は?」 「わたしは萌えというものを重要視している」 「……え?」 「いわゆる一つの萌え要素。朝比奈みくるのこの顔。胸。どれをとっても萌えとしか思えない」 うむ……しかしだな、とうとうお前の口からそんな言葉が聞ける時代になったんだな。 俺は心底驚いた。 長門が急に萌えとか言い出した。そして次に開いた口から出た言葉は、 「……うらやましい」 長門は自分の胸と見比べて、 何を思ったか、朝比奈さんの、それはもう大きな胸を背後から揉み始めた。 「うきゃっ!や、やめてください!長門さん!」 「……やめない」 「きゃぁああ~っ!」 「……うらやましい」 俺はというと無言でただ、立ち尽くしているだけだった。 長門、ごめん。なんか鼻血出そうだ。 「そのへんにしてやれ、長門」 俺は長門を朝比奈さんから引き剥がす。 「あなたもどう」 「ひぐっ?!」 朝比奈さんが俺から30cmほど遠さがる。 この反応、懐かしいな。 「遠慮しとく」 どうやら安心したようだ。 「あなたはこの部活に入部するべき」 「えぇ……?」 「朝比奈さんは何か部活をもうやってるんじゃないか?長門」 確か書道部……だったか。 「えぇ、わたしは書道部に所属……って……あ……」 なんだろうか、この「あ」は。 「分かりました……書道部は抜けてこの部活に入部します」 いったい何が分かったんだろうか。 「いいんですか?まだ名前も決まってないような部活ですよ?」 「……名前なら今決めた」 「……どんな名前だ?」 俺と朝比奈さんのゴクリ、と唾を飲む音が聞こえる……気がする。 「その名も」 「KYON団」 ……はぁ? なぜ俺の名前なんだ? そしてこれはネーミングセンスの無さが光りすぎている。 なぜKYON団か、という内容の疑問を有希に投げつけると、 長門は淡々と説明してくれた。 K キョンとわたしたちが Y 陽気で楽しい毎日を O 送り続けるための N 長門有希の 団 つまり、俺のためということもあってKYON団か。笑えん。 活動内容は未定らしい。 たぶん、宇宙人やらなんやらと遊びに行くことだろうな。 ……あれ?そういえば長門って自己紹介の時、 宇宙人じゃなくて異世界人って言ったよな……? ……それにしても本当にネーミングセンス無いんだもんなー。 なんだよ。キョン団って。 第10話『長門 有希 の憂鬱Ⅰ』~終~ キョン「次回予告! 謎の転校生までもを引き込むKYON団!」(古泉かよ) 有希「これがわたしの望んだ世界」 キョン「お前、ハルヒに憧れてたのか?」 有希「……教えない」 キョン「それにしても何か忘れているような……」 有希「思い出さないでいい」 キョン「……なんだろうか」 有希「第11話『長門 有希 の憂鬱Ⅱ』」 キョン「乞うご期待!」 第11話
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5592.html
静寂。それからは何故だかよく分からないが心の平安を与えられる様な気がしないだろうか? …決して頭のネジが捩曲がった上にぶっ飛んでしまって空いた穴に石油が溜まってしまったからこんな訳の分からん事を言っているのではない。 元来、スローライフやらなんやらに対して少なからず憧れを抱いていた俺だからこそ感じれる感覚なんだよ。 だからそんな俺にとって今隣で置物以上に置物っぽく座っている番の片割れはまさしくベストパートナーと言うに相応しいんだな。 長門有希。なんたらこうたらうんたら体がハルヒの唐変木な力を調査するために生み出したなんちゃらフェース。 なんていうものは過去の認識であり、今は多少人間には出来ない事が出来たり、多少普通の人間とは違った習性を持ってはいるものの今そんなインターなんちゃらなんて風に読んだら人権擁護団体が騒がしくなってもな不思議ではない位、人間らしくなっている。 そして何より俺とは 「…………」 いきなり手をギュッと握ってきたりしても俺の頭の中では素数が行進を始めたりはしないような間柄になった。 「いきなりどうしたんだ?」 「…………」 以前にも増して近しい間柄になったとはいえ未だに長門が何を考えているのが解らないときはある。 まあ、いくらなんでも相手の考えていることが全て解るっていうのは精神衛生上良くない。 が、自分の恋人が一日中普段とは違う雰囲気をまとっていたら精神衛生なんてどうでもよくなるもんである。 「朝から様子が変だったが…何かあったのか」 「…………」 俺の問い掛けに対しすぐに返事をよこすようならしくない真似はしない。 だから俺自身も深く追究するような野暮ったい真似はしない。 まあ、その代わりと言っちゃあ何だが繋いだ手を少し強く握りしめてやるのが俺のかつとめだろうよ。 そうする事数分。 俺の繋いだ手が空気を読めずに汗ばみだした頃、長門は口を開いた。 「…今朝、悪い夢を見た」 「夢?」 「そう、私は今まで夢について本やその他諸々から得られた情報によりある程度の知識はあった。しかし、実際にそれを見た事は今まで無かった…正確にはそのような機能は有していなかった」 始めて見た夢が悪夢か… 俺自身初めての夢がそんなの風だったら軽いトラウマになるだろうな。 「私は夢を見るという体験をするため私自身に対しそれを見れるような情報操作を施した。…私自身夢に対して理想を抱いていた事は事実。しかしこれまでの経験上その理想が打ち破られるのも想定していた。…しかし、今朝のそれはあまりにも酷かった………」 長門は一呼吸置き、そして呟いた。 聞き取れた俺は勲章を貰えるんじゃないかという位小さな呟きを。 「………それは貴方が奪われる夢」 「奪われる?俺が?誰に?」 「そう。一体誰が貴方を奪ったのか解らない。私の記憶にはない者だった」 なんともあやふやだなおい。 らしくないぜ全く。 「…貴方はずっと私の傍にいてくれると約束してくれた。それを疑うつもり微塵もない。ただ…」 「ただ?」 「もう一度約束して欲しい」 「……嫌だと言ったら?」 「…………」 そんなこの世の終わりどころかあの世の終わりみたいな顔するなよ。 余計にいじめた…ゲフンゲフン 「嘘だよ。お前さんが望むなら何度でも言ってやるさ」 「………本当に?」 不安げに俺を見つめるな、可愛すぎるだろ全く… やれやれ、何時から俺はサディストになったっていうんだ? 「ああ本当だ。耳の穴かっぽじって聞けよ」 長門が普段より深く頷いたのを確認し俺は 「 」 この世のものともあの世のものとも言いがたいほど臭いセリフ再びを吐いた。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1192.html
第11話『長門 有希 の憂鬱Ⅱ』 俺は、有希の世界改変により、これまた大変なことに巻き込まれてしまった。 時間が入学時まで戻り、 さらにはこの世界の長門(有希だと思う)が完全にではないがハルヒ化してしまったのである。 そして、俺は元の世界の長門があらかじめ用意してくれていたらしい(?) 栞の力により、記憶を取り戻す。 長門が朝比奈さんを部室まで連れて来る。 この新生長門により誕生してしまった部活。 その名前が今さっき明かされた。 その名も、KYON団。 やめてくれ。なんか恥ずかしい。 それにしても、先の展開を知り尽くしている俺はこの世界では理不尽な存在じゃないのか? 次は古泉が転校して来るはず。 その後は、いろいろ長ったらしくも意味不明的な説明を受けるだろうが、 俺はそれを知っているので先に明かしてしまえば回避できるイベントだ。 二度もあんな長い説明を聞くわけにもあるまい。 ……って、朝倉が俺を襲ってくるのはどうすんだ? 俺は一人で立ち向かわねばならんのか? ……教室に行かなかったらどうなる? たぶんそれでも帰っている途中、道の真ん中でナイフを持った朝倉に襲われるだろうな。 ……助けてくれ、元の世界の長門。 ……今の状況はこんな感じだ。 うむ。冒頭の簡単なあらすじとしては十分すぎるだろう。 さて、今後のKYON団はどうなることやら。頑張れ、俺。 俺は目の前の朝比奈さんに言っておく。 「別に入んなくていいですよ。自分が好きな部活に居れば良いと思いますよ」 もちろん、朝比奈さんは俺の心遣いに反し、入ると言うだろう。 「……じゃあ……そうさせてもらいますぅ……」 え?!ちょっと待ってくれよ! これはマジなのか?俺の予想は外れたのか? 「……ところで、さっきの『あ』はなんだったんですか?」 朝比奈さんは少し黙った後、おずおずと口を開き、 「……あそこに置いてある……血塗られたバット……」 おいおい……なんで部屋の隅にまるで返り血を浴びたようなバットが……。 長門、お前の趣味か?……だとしたら良い趣味してるな……。 「もう……いい」 何がいいんだ? 「胸が大きいだけでは……使えない」 !!それだけは禁句じゃあ……。 「ひっ!ううぅ……ぐす、ぐすん……」 ほら、朝比奈さんが泣いてるじゃないか。 「もう長門さんなんて知らないですぅーっ!」 朝比奈さんはどこかへ走り去ってしまった。 ちょっと朝比奈さんには可哀想だが、 朝比奈さんが居ないのならば、パソコンが手に入らないじゃないか。 他には…………すまん、ちょっと度忘れしたみたいだ。 明日までには思い出せる……と思う。 朝比奈さんは本当にこの団に入らないらしいな。 どうする?長門。KYON団の萌え要素が無くなったぞ。 「大丈夫」 「何がだ?」 「わたしが補完する」 「……マジかよ……」 「そう」 「メイド服とか着るのか?」 「……着て欲しい……?」 確かにそれも着て欲しい、だがな、俺にはどうも長門のブルマ姿が頭から離れん。 これも脳内yukiフォルダに保存されてるらしいな。無意識のうちに。 「つまりだな……えーと、長門」 「なに」 「メイド服でもいいが、制服でもいいぞ」 「そう」 俺の脳内会議の順序はこうだ。 まず、案がたくさん出る。 メイド服。体育服。制服。バニー。ナース。女王様。他は様々。 そこで気づく。他の奴に見られたらやばい物がある。 ……んで、さらなる脳内討論の後、 それなりに健全なものはメイド服と制服だけになってしまったので あんな答えになってしまった。 俺は他の奴の目を気にしないなら体育服で頼むつもりだったんだがな。 あのブルマは反則的な可愛さだ……って、何言わせんだ。 そんなこんなであやふやなうちにもう帰る時間だ。 俺は一人で帰った。 ベッドに寝っ転がり、この世界を元の世界に戻す方法を考えた。 ……情報が少なすぎるな。 何にも考えられん。 ……結局俺はこの後の数日間は何も思いつかないまま過ごすことになるんだな。 もうちょっと早く気づけば少しくらいは準備が出来たのに。 次の日からは毎日の放課後、部活が始まった。 その活動は全て読書。名前変えなくて良かったんじゃないか? ……今日の活動も読書か……? 「……そろそろコンピュータが欲しいところか」 元の世界だったらそろそろハルヒが言っていた頃だろう。 しかし、朝比奈さんがいないからどうすることもできないな。 ……まぁ、朝比奈さんとしては喜ばしいことなんだろうけども。 「そう」 やっぱり長門もそう思うか。 でも、どうすんだ?金無いぞ? 「コンピュータ研究部から貰う」 ……どうやって? 「……こうする」 長門は俺の襟元を掴み、自分の方へ倒すように足を払う。 俺は長門に倒れ掛かる。 「うわっ?!」 長門は地面に仰向けになり、その上に俺が覆いかぶさっている状態だ。 待て待て、なぜこうなる?! 「あなたがわたしを襲う写真を撮る。 ……コンピュータ研究部が襲っているように写真を改ざんする」 おいおい、方法は似ているが、なぜ俺が襲わなくちゃならんのだ? 理性を保つのがとってもキツいんだが。 長門はどこからかカメラを取り出し、 俺の肩の辺りで自分に向けて写真を2、3枚ほどパシャリ。 次に横からパシャリ。 「手はここ」 長門の顔は少し赤みを帯びている。 そう言って俺の手を掴み、自分の胸の上に置いた。 「揉んで」 「……は?」 「……写真……リアリティを出すため」 俺は長門の胸をほんの少し 揉む というか つまむ 。 表現は少しアレだが、それくらいしかないのだ。 長門の顔がドンドン上気していってるのは俺のせいか? ……それにしても柔らかいな……って、変なこと考えるな!考えたら負けだ! 「……いい」 またもや写真をパシャリと。 「次はもっとリアリティを出すために……」 まさか、実際に襲えと言おうとしているわけじゃあるまいな。 「実際におs」 「そこまでしなくてもいいだろ」 「……そう。良い写真が取れた」 「……そうか」 その写真は長門が持ち帰った。 どんな感じになるんだろうか。 次の日の朝。 長門はそれを持ってきたわけなんだが……。 「その写真、何も変わってないじゃないか」 「これでいい」 どこか満足気な顔にも見える。 「何が良いんだ?」 「……ツーショット」 ぼそ、と聞こえないように言う。生憎、近いから聞こえてしまう。 やっぱパソコンはいいか。 今日の休み時間の長門はずっとその写真をまじまじと見ていた。 そんなに気に入ったのか? はっきりいって、そのままだと俺が長門を襲っている写真なんだ。 だから他の奴に見られでもしたら、俺は変態と呼ばれるだろうな。 なるべく早く長門がその写真をふところに直すことを俺は必死に祈っていた。 そういえば、ついさっき岡部が1年9組に転校生が来ているとの事を言っていたが、 長門はいっさいそれについては触れなかった。 古泉までもこの団に入らないのか……? 俺は休み時間に古泉のところまで会いに行った。 なぜかと言うと、会いたかったから……なんつーのは嘘で、 実際には「長門も閉鎖空間を発生させるのか」とかを訊こうと思ってな。 俺は教室で女子に囲まれている古泉に声をかける。 「古泉、ちょっと来てくれ」 俺は久しぶりに古泉のニヤニヤスマイルを見て、 なぜか以前までの……元の世界のいつもの風景を思い出す。 俺はそんなにこのニヤケ顔を見ていたのか? 「誰ですか?」 「キョンだ。知ってるだろ」 それにしても自分でキョンって言うのもあれだな。 俺は続けて疑問を投げる。 「長門有希って知ってるか?」 「……あなたは何者ですか」 「一言じゃ説明できんし、ここじゃ話せないな」 「じゃあ外にでましょうか。そこで話してください」 俺と古泉は外に出て、あの席に座る。 俺が古泉から説明を受けた場所だ。 ここは話を円滑に進めるために自分の正体を明かしておく。 「……話して貰いますよ」 「あぁ……実はだな、……俺は……異世界人みたいなもんなんだ」 「……?!」 ニヤケ顔が崩れ、驚いた顔に変わる。 そしてシリアス顔へと移行する。 「異世界人?!……なぜこの世界に来たのですか?」 「それは教えられん。というか、俺も分からん」 有希の世界改変のせいだが……分からないことにしておく。 「で、長門は閉鎖空間は発生させるのか?」 「どうやらあなたは全て知っているようですね」 ……気づくのが遅くないか? 「長門有希は閉鎖空間は確かに出しています」 「なんか含みのある言葉だな」 「しかし、今現在はほとんど無くなりました」 「なぜだ?」 「今現在と言いましたが、正確にはあなたが長門有希と接触を始めてから、ですね」 「……はぁ?」 「それにですね、長門有希は以前までは異世界人、未来人、超能力者を探していましたが、 もうどうでも良くなったみたいです」 「……どういうことだ?」 「つまりですね、長門有希はあなたさえいれば、 異世界人も未来人も超能力者もいらないと考えたのでしょう」 「……意味が分からん」 「そのままの意味ですよ。 ヒントは、土曜日と日曜日に閉鎖空間が発生するということでしょうかね」 さらに意味が分からん。 俺はそこにミスターニヤケスマイル古泉を放置し、教室へと戻った。 ……長門は俺と出会ってから閉鎖空間をあんまり出さなくなった、 ということがどういうことを指し示しているかくらいは俺にも分かる。 どうやら俺はまた選ばれちまったようだな。 進化の可能性 であり 時空の歪み であり 神 とも呼ばれる奴に。 さて、……これまたどうしたもんかな。 その日の放課後。 俺はいつものように静かな時間を求めて部室へ行く。 今日読む本は何にしようか。 そんなことをぼーっと考えながら部室のドアを開ける。 ……あのー、長門さん?何をしておいでに? 「……出てって」 「あ……す、すまん!」 俺はドアを閉じる。 長門が着替えていた。 詳しく語りたいところだが、変態と思われるからやめとく。 これだけは言っておこう。 ……眼福だった。あぁ、脳内yukiフォルダがどんどん充実していく。 急にドアの内側から話しかけられる。 「……いい」 俺がドアを開けると、ちっちゃくて可愛らしいメガネっ娘のメイドがそこにおったそうな。 いや、実際に見たんだがな。 「……どう」 長門はその場でクルリ、と一周し、俺に見せ付ける。 丈の短いスカート。開いている胸元。フリフリの着いたカチューシャ。 ……正直、たまりません。情熱を持て余す。 今すぐ抱きつきたい、というか襲いかかりたい欲望を必死に抑えつつ、俺は言う。 「……いいんじゃないか」 「そう」 少しだけだが顔が赤くなる。 長門はそのままの姿で読書に耽る。 俺もなんか読むとするか……よし、今日はこれだ。 それにしても最近分かったことなんだが、 読書ってのは時間を忘れさせるもんだったんだな。 いつの間にかもう帰る時間だ。 長門が急に口を開く。 「明日は土曜日。」 「そうだな」 「だから……不思議を探しに行く」 え?やるのか?不思議探索……。 「そうか……何時からだ?」 「……明日…朝9時……駅前」 「……分かった」 長門がじっと俺を見つめてくる。 「……」 「……」 無言。何が言いたいんだ?長門。 「……出てって」 あ。 「そ、そうだったな……じゃあな!」 俺は一人で家に帰る。 やっぱり、不思議探しするのか……。 次の日の朝。 土曜日なのでいつもより少し遅めに起こされた(妹のボディプレスッ!)俺は 朝から出かけなければいけないことを思い出し、急いで準備を済ませる。 よし、まだ間に合う。むしろ早すぎるくらいだ。 ……しかし、長門はそれよりも早かった。 俺が駅前に着いた頃にはすでに長門は着いていた。やっぱりな。 「よぉ」 「……」 うなづく。長門にとって挨拶とは、うなづくことらしい。 「さて、どこに行くんだ?」 「……」 分からないようだ。 「とりあえず街でも行くか」 長門はまたもうなずく。 俺と長門は街へ向かって歩き出す。 「……一言いっておく」 「……?」 「これは……デートじゃ……ない」 ほんの少しだけ顔が赤くなる。 ……今思えば、デートみたいだな。 二人っきりで街中を歩く。さすがに手は繋がない……か。 元の世界の長門を思い出す。 あいつは……俺の腕に抱きついてたな。 それのおかげでちょっとばかし歩きにくかったんだよな。 ……長門……。 俺は感慨に耽る。隣で歩く長門を見ながら。 「……なに」 俺の視線に長門が気づく。 いや、なんでも。 「そう」 それにしても本当にどこへ行こうか。 「図書館でも行くか?」 「……」 首を縦に振る。 ……やっぱり長門は長門だな。 図書館に着いた。 着いたと同時に長門はフラ~っと面白そうな本がありそうな場所へと歩いていく。 ……長門……。 俺は元の世界での出来事を思い出す。 あの時も今のように人は結構多かった。 俺があの時読んだ本は……あったあった。 ……やっぱこの本は泣けるな。 しかし、今度は嬉しいような感情での涙だった。 長門……長門…………会いたい……。 「なに」 ってうわぁ!?……長門か。 いつかのように俺が大声を出してしまったせいで周りの利用客がこっちを振り向く。 すいません、みなさん。 「……長門、いるならいるって言ってくれ」 「ずっとあなたと一緒だった」 「は?俺の後を着いてきてたのか?」 「そう」 「……いつの間に」 俺と長門はしばらく見つめ合う。 「……心配しないで」 「何がだ?」 「……わたしはここにいる」 「……あぁ。分かってるさ」 分かっている、分かってはいるが……あの長門に会いたいんだ。 俺らは昼飯も抜きにして、読書を続けた。 それにしても……腹減った……。 なぁ、長門。そろそろ帰ろうぜ。 「そう」 駅前まで一旦戻り、自転車に跨る。 どうやら長門は歩きのようだ。 それじゃあな、長門。 「……のせて」 ……あ、あぁ。 長門は俺の自転車の荷台に跨る。 そして俺の背中に抱きつく。 控えめな感触が、俺は好きです。………駄目だ、がんばれ。理性。 「わたしの家まで」 ……あ、あぁ。 ……俺が自転車で長門の家に着くまで ずっとその柔らかな2つの感触を楽しんでいたのは秘密だ。 いや、もう俺を変態扱いしてくれてもいいな。 俺はこの感触が楽しめるなら変態でいい。 ……今俺、危ない思考してるな……。 長門の家にとうとう着いてしまった……。 俺はとても後ろ髪引かれるような気分になる。 「きて」 え? 「……」 長門は黙って正面玄関の鍵を開ける。 開いたドアの向こう側で長門が立ち止まり、こっちを振り向く。 ……それは来いってことか? 「晩ごはん……」 俺は長門の家にあがりこんで、カレーをご馳走になった。 まぁ、いつものレトルトだから、味は良いとも悪いとも言えないな。 なぜか長門はどう見積もっても6人前はあるであろう量のカレーを、 これまた2人分より明らかに多い量のご飯に盛ってきた。 しかも、一つの大皿に。 俺は「小皿をくれ」と言ったが長門は「おさらが汚れる」と断固拒否。 どちらかというと、この大皿のほうが要領悪くないか? で、仕方が無いので俺と長門は二人横に並んで悪魔のような量のカレーに立ち向かう。 すると、当然のごとく肩が触れ合う。 長門はそのたびにピクリ、としていた。なんだろうか。 ……で、結局のところ俺はけっこう粘っていたが、残り3分の1、と言うところでリタイア。 いつの間にフードバトルへと移行したのだろうか。 小学生が真似して死人が出たってのに。 残りは長門がペロリと食べ終わってしまった。 俺が皿を台所まで持って行く。 俺はまた長門の隣に座る。 ……あぁ、もう満腹だ。 さすがに昼飯抜いたから腹減ってたとしても、この量は無いだろう。 「そう」 長門は俺の腕あたりに肩で押してきた。 「何だ?」 「わたしが勝った」 まぁ……確かに雰囲気はフードファイトだったとは言えど、俺が勝てるはずも無い。 「なんか罰ゲームでもあるのか?」 「ある」 「なんだ?」 たぶん長門のことだから、そこまでキツイ罰ゲームではないだろう。 ……なんて甘い考えでいるから俺はだいぶ前にヘタレとか言われたんだろうな。 「わたしの家に泊まっていくこと」 「……は?」 「……いい」 何が「いい」のか分からん。 俺はなぜだか長門の家に泊まっていくこととなった。 理由は分からん。 二人でトランプしたり読書してたりすると、いつの間にかもう11時だ。 良い子はもう寝る時間です。寝るか。 それを長門に伝えると、長門も寝ると言い出した。 たぶん長門も眠いんだろう。 寝室に入る。おぉ、もう布団が敷いてある。 しかし、一つだけ。 「長門、布団はもう無いのか?」 「……ない」 「じゃあ一緒に寝るか?……なんt」 「そうする」 おいおい……俺はなんてな、と笑い飛ばそうと思ったのに。 「いや、俺は居間で寝るからいいぞ?」 「いい」 「……居間で寝かせてくれ」 じゃないと夕方からそうとう我慢していた俺の理性が持たん。 「これは、団長命令」 そういえば、長門はKYON団の団長だったな。 「従わないと……私刑」 漢字が違うことが長門の優しさだな。 その私刑ってのもどんなのか受けてみたいがな。 俺は顔を真っ赤にしながらもこう言う。 「その……もしも、だがな……? もし俺がお前を襲っちまったとしたら……どうするんだ?」 もちろんそんなことは俺の理性がさせないが、もしも、の話だ。 こうでも言わないと長門の命令がそのまま通りそうだったんだ。 神様、こんな俺をどうか許してやってくれ。 「……従わないと私刑と言ったはず」 ……仕方がないので、俺は布団に潜る。長門も眼鏡を外して潜り込んで来た。 俺は長門がいないほうを向く。 ……俺の心臓の音が喉の奥で聞こえる。 ここまで大きいんだから聞こえてるんだろうか……。 俺の首に長門の荒めな息がかかる。ピクリ、としてしまう。 長門の体温が背中のすぐ後ろで感じられる。 長門はいったい、何をしているんだ。 後ろで何かがもぞもぞと動く。 なんだ?俺は振り向く。 「っ!?長門、何やってんだ!」 「……あつい」 長門が服を脱いで下着になっている。長門らしい、質素な下着だ……。 顔が赤い。俺も、長門も。 長門は熱い視線で俺の目を見ている。 眼鏡をしていない長門を見たのは久しぶりだ。 その目を見て、俺は元の世界の長門……と………有希を思い出す。 だ……駄目だ……っ! 俺は後ろを向く。 長門は後ろから抱き付いてくる。 俺は必死に寝たふりをする。 こんな臆病な自分を誰が許せるものか。 ……朝だ。 寝たふりしていたらいつの間にか寝てしまっていたんだろうな。 長門も俺の隣で寝息を立てて寝ている。 俺は昨日のお返しに、とほっぺたにチューをしようとする。 ……やっぱ、俺って意気地なしのヘタレだな。自分で言うのもなんだが。 長門が薄く目を開けて、小さく呟く……。 「いくじなし」 ……長門、いつから起きてた? 「あなたが起きる前から」 ……さっきのことは忘れてくれ……。 「そう」 そういえば、昨日の夜は……。 「……あれは……」 長門は俺に顔が見えないように俯いて言う。 「……あなたのテスト……」 はぁ? 「団長に今後……変なことをしないか……の、テスト」 ……そうか……。 俺は昨日と同じくカレーをご馳走になり、(量は普通だった) 家に帰った。そして、俺は暇やらなんやらを持て余したまま時は過ぎ、月曜日になった。 俺は気づく。明日……朝倉の手紙がくるんじゃねぇか? とりあえずその日は何も無く、平和な一日だった。 次の日。 俺は学校に行き、靴箱を確認しようとする。 確か……今日、のはずだよな……? 朝倉からの手紙は入っているのか……? 靴箱を開く。 そこには一枚の紙切れが。 内容は……以前と同じだ。 『放課後誰もいなくなったら、1年5組の教室に来て』 俺は授業中も休み時間中も昼休みもずっと一人で対策を練っていた。 しかし、考えても考えてもその対策は出てこない。 マジで助けてくれ……元の世界の長門……。 いつしか放課後になっていた。 部室でぎりぎりまで対策を練っていたが、何の案も出ん。 とりあえず、教室……行くか……。 俺はいつもの5倍は重く感じる足を嫌々ながら動かし、教室へと向かう。 教室を覗く。 そこにはやはり、夕日に照らされている朝倉がいる。 「遅いよ」 俺は汗だくだ。緊張しまくっている。 「入ったら?」 引き戸に手をかけている俺は、そこで粘るのもなんなので、とりあえず教室に入る。 ……入りたくねぇんだけどな……。 「朝倉……」 「あなたは少し情報を持ちすぎているわ」 「なっ!知っていたのか……俺の正体を……」 「そ。意外でしょ」 意外も意外だ。なぜ知っているんだ。 「じゃあ今からわたしがすることも……分かるよね?」 急に後ろのドアを気にする俺。 しかし、瞬時にドアがなくなり、灰色の壁へと早変りする。 朝倉は一息ついて、呟く。 「あなたを殺して長門有希の出方を見る」 朝倉はナイフを持ち、物凄いスピードで飛ぶように襲ってくる。 俺はそれを必死に避ける。 「と、とりあえず落ち着いて話し合おうぜ。なんかお前とは分かり合える気が……」 「うん、それ無理」 「ははは……やっぱり……か」 「いくよ」 「あぁ」 俺は朝倉の猛攻を避け続ける。……こんなの相手にしてられるか。 まぁ、避けるって言っても、朝倉は全部ギリギリのところしか狙わないから、 これを楽しんでいたのかもしれないな。 「なぁ……朝倉……こんなことして……楽しいか……っ!?」 「楽しくなんか無いわ……っ!」 「じゃあ……俺と……もっと……陽気な、日々を……すごさないか……?」 会話の間も猛攻は止まない。 「……もう終わらせるわ」 く、来るのか……っ!? 「最初からこうして置けば良かった……」 ……口だけ動く……?! 「朝倉!お前も俺等の団に入らないか?!」 朝倉は俺の言葉を無視して、自分の言葉を続ける。 「……だって……あなたの言葉を聞いたら……決心、揺らいじゃう……」 その目には、涙。 「でも、あなたはわたしの気持ちには気づかなかったわ……」 ……そ、そうだったのか……。 俺はせっかく口が動かせるのに言葉が紡げない。 「……さよなら」 朝倉が俺にナイフを向け―――突進してくる。 ――――その瞬間、何者かがライダーキックのような蹴りで天井をブチ破って入ってくる。 コンクリートの破片、砂、埃、蛍光灯の残骸などで視界が塞がれる。 ……誰かが助けに来た?! 次第に視界が晴れる。 「―――な、なんでお前が来るんだ?!」 そいつはふん、と鼻息を鳴らして大きな声で言う。 「助けに来てやったわ!あたしに感謝しつつ、せいぜい死なないよう頑張りなさい!」 そこに現れたのは――――黄色いカチューシャをつけた長髪のハルヒだった―――― 第11話『長門 有希 の憂鬱Ⅱ』~終~ キョン「次回予告! ハルヒって長門と同化?したんじゃなかったのか?」 有希「それはあくまであなたの予想に過ぎない」 キョン「そうか……?」 有希「そう」 キョン「まぁいい。とりあえず俺の命は繋がったようだ」 有希「まだ分からない……」 キョン「こらそこ。不吉なこと言うな」 ハルヒ「大丈夫よ、あたしがあんたを守るんだから」 キョン「ハルヒ……」 有希「第12話『長門 有希 の憂鬱Ⅲ』」 キョン「乞うご期待!」 なんか同じ名前のキャラがたくさん出てきて正直、自分でも困る。 第12話
https://w.atwiki.jp/crossnovel/pages/39.html
涼宮ハルヒを中心としたSOS団は何故かとある田舎にやって来ていた。 「で、ハルヒよ。こんな何もない所で一体何をやるって言うんだ?」 いつもの様にハルヒの奇行に文句を言うキョンであったが、ハルヒはそこである方向を指差した。 「あれを見なさい。」 「あれって…お地蔵様がどうしたんだよ?」 ハルヒの指差した方向にあるのは一つのお地蔵様。そしてハルヒはそのお地蔵様へ歩み寄って頭に手を当てる。 「何でも話によると、このお地蔵様は悪い妖怪を封じ込めてるって噂。でもそれが本当なら面白いと思わない?」 「おい…お前がやろうとしてる事が分かったぞ。お前そのお地蔵様に何かしようってんだな!?」 「そう! その通りよ! キョン、今直ぐこの地蔵を倒してみなさい!」 「そんな罰当たりな事出来るか!」 「何言ってんのよバカキョン! 妖怪見たくないの!?」 その地蔵が妖怪を封じ込めていると言う噂が本当か否かはともかくとして、地蔵を倒させようとするハルヒに対し、 キョンは恐れ多いと頑なに否定する為、ハルヒは腹を立ててしまった。 「キョンがやらないなら私がやるわよ! てやぁぁぁぁ!!」 「あっ! バカ! ハルヒやめろ!!」 キョンの制止を振り切ったハルヒの飛び蹴りが地蔵の頭部に炸裂し、もろにぶっ倒れてしまった。 しかし、それだけ。それだけである。ただ地蔵が倒れただけで、特に何か起こる気配は無い。 「何だ。何も起こらないじゃない。馬鹿馬鹿しい。私帰る。」 「おいこらハルヒ! 帰るならせめて地蔵を元に戻してから帰れよ! 地元の人に怒られるぞー!」 が、呼び止めるキョンを無視し、ハルヒはそのままそそくさと帰ってしまい、その場には キョン・長門・みくる・古泉の四人だけが残されてしまった。 「キョンく~ん…このお地蔵様どうしましょう~?」 「と…とりあえず…元に戻しましょう…。」 帰ってしまったハルヒに代わって仕方なく地蔵を元に戻そうとする四人だったが、 そこで突然地蔵の後の山から何かが現れた。 「な…何だ!?」 山肌を吹飛ばして現れたそれは、まるで仏教世界において死者を裁くと言う 閻魔大王を思わせる形相の何者かだった。 「え…閻魔大王!? って事は…この地蔵は……本当に……。」 状況から見るに、ハルヒが倒した地蔵は本当に何かを封じ込めていたのだろう。 それも、妖怪では無く閻魔大王を。しかもその閻魔大王は右手に持った巨大な刀を 振り回して見境の無い大暴れを始めたでは無いか。 「うああああ! 地獄から閻魔大王が蘇ったーって言うかどうするんだよこれー!」 「違う…これはえんま怪獣エンマーゴ…。」 「えんま怪獣…エンマーゴ?」 長門が言うにはこれは正確には閻魔大王では無く、えんま怪獣エンマーゴと言う 似て非なる物らしい。長門が何故それを知っていたのかはキョンには分からなかったが、 長門はキョン達を守る為にエンマーゴの前に立ちはだかった。 「私が相手に立つ。」 「長門!」 以前長門はキョンを守ると言ったし、実際朝倉に襲われたキョンを助けてくれた。 今回もまたキョンを守る為にエンマーゴに立ち向かって行ったが、情報統合思念体が 作ったインターフェースと言う地球外の存在が、妖怪変化の一種っぽいエンマーゴに 戦いを挑むと言うのは冷静に考えると凄いシチュエーションだよな。 口から黒いガス状の霧を噴出し、刀を振り回して暴れるエンマーゴを取り押さえようとする長門だが どうやら力に関してはエンマーゴの方に分がある様だった。 「長門ー! お前の情報操作とやらで何とかならないのかー!?」 「先程から試しているが…あれにはこちらの情報操作を無効化する何かを持っているらしい…。」 「何!?」 大抵の相手なら、長門は戦うまでも無く情報結合の解除によって相手を消滅させる事が出来る。 しかし、エンマーゴにはそれが通じないと言うのである。何故長門の情報操作を受け付けないのかは 分からないが、やっかいな相手である事には変わりない。やはりエンマーゴは閻魔大王なのか? 282 名前:長門の首がすっ飛んだ![sage] 投稿日:2009/08/25(火) 13 01 50 ID 3mUxJOYm エンマーゴ自身に情報操作が通じないならば、外部の情報を操作する事による正攻法で攻撃し 倒す以外には無い。長門は自身の情報操作によって作り出したエネルギーをエンマーゴへぶつけようとするが エンマーゴが左手に構える巨大な盾によって弾き返されてしまった。なんと言う頑丈な盾であろうか? 長門の攻撃を防ぎつつ、刀を振り回して迫るエンマーゴ。長門は何とかエンマーゴの刀を回避しながら 下がる事しか出来ない。 「いかん長門がパワー負けしている! 一体どうすれば…はっ! そうだ! お地蔵様だ!」 エンマーゴはお地蔵様によって封印されていた。それをハルヒが倒してしまったから蘇ったと言うのなら お地蔵様を元に戻せば何とかなるかもしれない。 「古泉! 俺とお前でこの地蔵を元に戻すんだ!」 「わ…私も手伝います~。」 キョン・古泉・みくるの三人で倒れた地蔵を何とか持ち上げて元に戻そうとするが、これが中々重く 持ち上がらない。しかし、このままでは長門はエンマーゴにやられてしまう。 「くんぬぅぅぅ!」 「お…重いです~…。」 それでも何とかゆっくりではあるが地蔵を元の位置に戻す事に成功したが、一方長門は エンマーゴの口から噴出された黒い霧によって視界を封じられ…… 「なっ長門ー!」 黒い霧で長門の視界が封じられた隙を突き、エンマーゴの刀が横一文字に長門の首をすっ飛ばしていた。 しかしその時だ。元の位置に戻された地蔵の目が光を発し、何処からともなく響き渡る念仏を唱える謎の声。 恐ろしいエンマーゴの刀攻撃に、長門は死んでしまったのかと思えた。が、地蔵から発せられた念力が エンマーゴの動きを封じ、そしてエンマーゴに切り落された長門の首を元通りにしていたのである。 地蔵の念力でエンマーゴの力が封じられた今ならば情報操作が通じる。蘇生した長門はとっさに 情報操作を行い逆にエンマーゴの首を切り飛ばし、首を失った胴体に情報操作によるエネルギーを ぶつけ、木っ端微塵にしていたのだった。 「全く災難な事になっちまったな。やっぱりこういうのにイタズラをしてはいかんと言う事だな。 ハルヒに関しては俺の方からきつく言っておきますんで…。」 エンマーゴが倒された後、キョン達は地蔵の前に手を合わせ拝んだ。 おわり ハルヒとウルトラマンタロウ14話「タロウの首がすっ飛んだ」のクロス 閻魔大王と戦って長門の首がすっ飛ぶのをやりたかっただけと言うお話
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1191.html
第10話『長門 有希 の憂鬱Ⅰ』 サンタクロースをいつまで信じていたか、 などというたわいも無い世間話にもならないくらいのどーでもいいような話だが、 それでも俺がいつまでサンタなどという想像上の赤服じーさんを信じていたかというと これは確信を持って言えるが最初から信じてなどいなかった。 小さい頃、俺は未来人・宇宙人・超能力者や、 またはそれに準ずる何かの存在を認めたかった。 だが、いつまで経っても俺の目の前には出てこない。 もしかしたら存在しないんじゃないかという、 俺の中の疑問の答えが「存在しない」になった頃、つまり俺が中学を卒業する頃には、 俺はもうテレビが組むようなUFO特番などはそう熱心に見なくなっていた。 いるワケねー……でもちょっとは居て欲しい、 みたいな最大公約数的な事を考えるくらいにまで成長したって事さ。 学校に着いた。 すると俺と他の俺と同じクラスの奴等はすぐさま体育館へと連行された。 例によって例のごとく、声が活き活きとしている校長が出す、 強制睡眠音波にやられかけている俺は、眠りそうになるのを必死に我慢する。 それにしても、なんでどこの学校の校長もこんなに長いこと話をするのが得意なんだ? 長い話をするのが好きなのか? 好きものこそ得意なれ、とかそんな感じのことわざが あったような気がしないでもないが、校長はそれにあてはまるんだろうな。 いつの間にか校長が出していた音波にやられ、 すっかり寝ていた俺は閉会の言葉を聞いて起きた。 みんなが教室へ移動する。俺もそれに着いて行く。 教室に入ると担任らしき人物があいさつをした。 岡部という名前らしい。どうやらハンドボールに相当熱が入っているようだ。 次に、もはや社交辞令と言っても過言ではない自己紹介が始まった。 それぞれが自分の名前を言い、何の変哲も無いような趣味やらなんやらの一言を言って終わる。 もちろん俺もそれに乗じたさ。 こういうのってさりげなく緊張するよな。 ただ、自分の名前を言って、テキトーに何か言って、それで終わりだ。 俺の順番も終わり、後は聞くだけか。 極々一般常識から考えるとフツーな自己紹介を聞いていたら、 なんだか無機質な声が聞こえてきた。 「長門有希」 おいおい、名前だけかよ。無表情だしなんか無機質なやつだな。 しかし、次のセリフで俺の考えは180度変わったと言っていいだろう。 「ただの人間に興味はない。 異世界人、未来人、超能力者がいたら、わたしのところに来て」 それだけ言うと、すぐ席に座ってしまった。 ……は?もしかしてこいつあれか?電波な人か? 偶然だったが、そいつは俺の左隣の席だったので 後の奴の自己紹介を聞くことなんかそっちのけで長門有希さんとやらに話しかける。 「なぁ……さっきの自己紹介のアレ、どこまで本気だったんだ?」 呼びかけの言葉で俺に気づいた長門有希は、首だけ俺の方を向いた。 「なに」 いや、だから異世界人がどうとか 「……あなたは異世界人……?」 ……違うけどさ。 「……」 ……いや、なんでもない。 「そう」 なぜかこいつからは感情が感じられないのだが……。 機械人間か、と思うくらいに……。 俺は結局それから1週間ほどは長門有希とは一言も喋らなかった。 あ、一度だけ消しゴム拾ってくれたな。 昼休みに一人で弁当を食うのも別に苦痛とまではいかないが、 さすがに寂しいものがあるので誰か友達と弁当を食う。 その友達と言うのは俺が中学のとき比較的仲が良かった国木田と、 たまたま席が近かった谷口という奴である。 長門有希の話題が出たのはその時である。 「お前、あいつが自己紹介をした直後、話しかけたな」 「あいつ……?あいつって誰だ?」 「長門有希、だ」 「あぁ。そうだな」 「何かワケも分からんうちに会話が終了してたろ」 あぁ、確かに言われて見ればそうだな。とりあえずうなずく。 「もしあいつに気があるんなら、悪いことは言わん、やめとけ」 「なんでだ?」 俺は気があるわけでもないのに聞き返す。 「あいつの無表情・無感情っぷりは常軌を逸しているからな」 「まぁ……確かにそうだな。それだけか?」 「あぁ……それだけだな」 それで俺の会話は終了した。あとは谷口と国木田の漫才みたいな談話を聞いて、 うなずいたり相槌うったり笑っていただけだ。 一方、俺が絶賛注目中の長門有希は、 見た目が(少なくとも俺の目には)可愛いと言うだけで何も知らない女子が寄ってきている。 しかし、その女子らも長門有希の無表情の餌食に……。 「ねぇ、昨日の9時からのドラマ見た?」 「見てない」 「何見てたの?」 「見てない」 「何してたの?」 「読書」 長門有希はただ弁当を食べたいだけなのにな。 あれじゃ逆に可哀想だ。 「趣味は何なの?」 「……静かにして」 「……」 話しかけていた女子らはシュン、としてしまった。 そりゃそうだろうな。本人達は良かれと思ってやったことだろう。 さて、俺がその長門有希の存在の奇抜さについて知ったのはそれからしばらく後のことだった。 しかしながら、このころから徐々にそれの片鱗を見せていた。 俺は一刻も早くそれに気づくべきだったのだろうな。 と言うわけで片鱗その1。 休み時間に読む本が毎回変わる。 いったいどのくらいのスピードで読めば、 10分そこらの休み時間で一冊の本を読み終わるんだ? 俺の休み時間はたいてい、自分の席に座ったまま休めるという状況に甘んじて、 その名の通り机に突っ伏して休んでいるわけだが、 長門有希がページを捲くる音が相当な数聞こえる訳だ。結構なスピードで。 本当に読んでるのか?文庫本だぞ?ざっと見て200ページくらいはまずあるよな? しかも読んでる本がいつもSF小説と来たもんだから、 休み時間のこいつの頭の中には宇宙が広がりまくってることだろうよ。 さらには俺が以前、休み時間に話しかけてみたところ、 読書中のため見事に無視されてしまった。 一言くらい返してくれてもいいのにな。 続いて、片鱗その2。 授業中は常に俺をじろじろ見ている。 やめてくれ、いったい俺が何をしたって言うんだ? 首ごと俺のほうを見ている。 しかし、俺が長門有希の方を振り向くと、すぐ前に向きなおす。 ……なぜ? 試しに授業中、逆に俺がずっと見ていると、 長門有希の視線は時々、こっちを気にしているようにちょろっと見てくる。 そしてすぐさま視線を元の位置へと戻す。 いや、本当になんで俺を見ているんだろうか? いっそ話しかけてくれればいいのにな。俺はビックリするだろうけど。 片鱗その3。 学校が終わるとすぐさまどこかへ行く。 いったいどこに言ってるんだろうか? しかし俺には長門有希をストーカーする勇気など無いので、 どこに行ってるかは知らん。本人に聞こうにも話が切り出せない。 片鱗その4。 弁当の量がハンパ無く多い。 俺の弁当の2、3倍はあるぞ? いったい体のどこにそんなにたくさん入るんだ? ていうか、そんなにたくさん食ってるのに、 全然太る気配さえしないのはなんでだろうな。 片鱗その5。 俺が体育の時間に谷口の朝倉話を聞きながら観察した。 長門有希のブルマ姿は可愛い。 ……じゃなくてだな、運動能力がズバ抜けて凄い。 見た感じひ弱そうなのにな。 ……今度の体育の時間にもう一度じっくり観察せねば。 いや、別にやらしい目で見る気は無いぞ?……建前では、な。 まぁ、今では朝のあいさつくらいは交わすような仲(これが 仲 と言えるかは断言できん)に なったのである。俺だけがなったつもりなだけかも知れんが。 そんなこんなでいつのまにやらもう5月。 ちなみに月が替わる直前、席替えをした。 俺は窓際の最後列から2番目というなかなかのポジショニングをゲットした。 ……長門有希はその後ろだった。 すでに去ってしまったゴールデンウィークは、 家族とばあちゃん家に行くという、まさに平々凡々な結果に自分でもなぜか落胆し、 ゴールデンウィーク明けの1日目の登校の強制ハイキングロードを満喫しつつ 面白いことは無いかと必死になって探していた俺なのであった。 しかし、本当につまらないな。 何か面白いことが道端にでも落ちてないか……? 「よう、キョン」 谷口だ。 「お前、ゴールデンウィーク何した?」 ……ここから先の会話は省かせてもらう。 なぜなら、俺の過ごし方と谷口の中身の浅い恋愛話を喋っていただけなので、 別にあってもなくてもどうでもいいのだ。 教室に入ると、長門有希はとっくに俺の隣の席で読書を始めており、 すでにもう1時間目の準備は済ませました、とでも言っているようだ。 ……たぶん、俺は魔が差してしまったんだろうな。 朝から面白いことは無いか、とか考えていたからだ。 いつもの俺なら、「おはよう」とかあいさつして、 長門有希は無言でうなづくだけなのにな。 俺は長門有希にこんな質問を投げかけた。 「何読んでんだ?」 長門有希は本の背表紙をこちらに向け、本の上からチラッと俺の顔を見た。 どうやらまたもやSF小説のようだ。 いつもと違うのはそれが文庫本ではなく、ハードカバーの本だったということだった。 面白い? 「ユニーク」 どういうとこが? 「全部」 ……本が好きなんだな。 「わりと」 そうか……。 「……」 ほんの少しだけ間を空けて答える長門有希。 会話の途中で眼鏡の耳にかけるところに繋がる部分を少しだけ上に戻した。 なんか可愛らしいな、この眼鏡をひょい、と上げる仕草は。 そんな仕草にちょっとだけ俺はやられたんだろうな。 またもや言ってはならないような、そんな雰囲気の言葉を投げかけてしまった。 いや、投げたと言ったほうがいいか? 「案外、可愛いんだな」 「……そう」 長門有希の頬がほんの少し……そう、ほんの少しだけ、赤くなる。 それからだったか。 俺が長門有希のことを「長門」と呼び捨てにしだしたのは。 休み時間に谷口が話しかけてくる。 「おい、キョン。お前どんな魔法を使ったんだ?」 「魔法ってなんだ?」 「俺、あいつがあんな表情したの初めて見たぞ」 後ろからひょっこり国木田が現れた。 「昔からキョンは変な女が好きだからねぇ」 おい、誤解を招くようなことを言うな。長門が俺の後ろだって事を知らんのか。 そもそも、まだ好きじゃねぇ………と思う。 「そもそも、だ。お前にだけあいつがすこしずつ感情を開きつつあるのが気に食わん」 「そうか?」 「どちらかというとキョンも変な人間にカテゴライズされるからじゃないかな」 「知るか」 「あたしも聞きたいな」 朝倉涼子だ。このクラスの委員長で、谷口曰く、 「クラス一……いやッ!学年一だッ!!あのッ!美しさッ!」 谷口が本当にこんなことを喋ったのかどうかは覚えていないが、 形容するならこんな感じの勢いだった。息が荒くなるくらいだったな。 確かに朝倉は綺麗だ。学年一と言われて素直に納得が出来るからな。 「あたしがいくら話しかけても、心を開いてくれないの。何かコツでもあるの?」 解らん。 「ふーん。でもあたし安心しちゃった。長門さんもあんな表情するなんてね」 おいおい、長門を何かと勘違いしてないか? 「長門さんは長門さんよ」 肯定の意見しか出せないような言葉を朝倉が言う。 その直後岡部が入ってくる。授業だ。 授業中、やはり今日も今日とてこちらをジロジロ見つめてくる長門。 授業が終わった。なんとなく話しかけてみる。 「何か面白いことないか?」 「……」 無言だが確かに俺の話は聞いてくれてるようだ。 本は机に置いて、俺だけを見ている。なんか気恥ずかしい。 こいつは人やものを見るという点では物凄い能力を発揮するな。 「実は俺、小さい頃はまだ、長門が自己紹介で言ったようなやつらがいると信じてたんだ」 「……いる」 「そうかもな。実際には隠れてるだけで、探したら出てくるかもな」 「そう」 「いたら面白そうだよな」 「……ユニーク」 こんな感じで俺らの休み時間の会話は終わった。 もしかしたらこの会話がネタフリだったのかも知れないな。 次の授業中に長門が急に俺の服を引っ張った。 俺は椅子ごと後ろに倒れかけ、長門の机で頭を打った。 「痛ぇっ!」 俺は立ち上がり、長門のほうを見る。 「……強すぎた……ごめんなさい」 「……まぁ、いい」 「……いいこと」 「それがどうしたんだ?」 「……思いついた」 長門は俺を見上げる形で言った。 「部活を……つくる」 俺は黙って席に座る。 そろそろ先生が何か言いたそうだった気がするからな。 「そうか」 「そう」 授業が終わるなり、長門は俺に「着いて来て」といって俺を教室から連れ出した。 階段の踊り場に着く。ここらしいな。 「わたしたちで部活をつくる」 なんでだ? 「あなたが退屈そうにしていたから」 それだけか? 「……わたしも退屈」 ……そうか。 ―――昼休み。 俺はまた「着いて来て」などと言われてほいほい着いていった。 着いたのは文芸部室。 「ここはわたしが文芸部として使っている部室」 「ここを使うのか?」 「そう」 ていうか、長門、お前文芸部員だったのか。 「他に部員は?」 「いない」 「……そうか」 結局いつの間にか俺もその新しい部活の部員になってるようだ。 仕方が無いか。俺が望んだことを長門は叶えてくれようとしているのである。 ―――放課後。 俺は今度は「先に行ってて」と言われ、一人寂しく教室で待っている状態だ。 何もすることが無いので本でも読もう。 ……面白そうな本……っと。 ―――!俺の直感にピンと来た。 この本は……なんだろう、なぜか不思議な感じがする本だ。 題名は……「ハイペリオン」……か……。 パララ、とページを捲くってみる。 何かがひらりと地面に落ちた。 なんだろう、何かの紙か?……栞だ。 何か文字が書いてある。 『わたしはキョンがすき』 なんだこりゃ。……イタズラか? 俺は地面に落ちた栞を拾い―――― 改変される以前の記憶を取り戻した。 ……なぜだ? 有希はなぜこんな世界を望んだんだ? 有希がまるでハルヒみたいじゃねぇか。 ……そういうことか?! 有希は「涼宮ハルヒは存在させる」と言った。 それは、自分の中に存在させる……というか、 有希がハルヒになる、とでも言ったほうがいいのか? つまりだな、有希はハルヒの能力を手に入れた代わりに、 インターフェイスとしての力を失ったということだ。 記憶も無いらしい。 ……とりあえずこの世界では長門有希は一人しか居ないわけだから、 「有希」じゃなくて「長門」と呼ぶか。 なんかそっちのほうがしっくり来るしな。 ……で、なんで栞で記憶を取り戻せたんだ? 元の世界の長門の仕業か? ……そうか。そうだったのか。 長門は最後に「し、お、り」と言ったのか。 でもなんで栞なんだ? 俺はそれを思い出すと同時に長門との別れをも思い出す。 涙が出てくる。……長門……。 しかし、栞が入っているということは誰かの読みかけということなので、(たぶん有希……だな) 栞を元の位置に戻し、本を閉じる。 その本を本棚に直し、長机にかけてあるパイプ椅子に腰をかけると、 部室に何も無い事が妙に懐かしく感じられた。 俺は窓辺に目をやる。 元の世界の長門がいつも本を読んでいた場所だ。 今は椅子すら置いていない。 あそこで本を読んでいる長門の姿はもう見れないのか……? 俺はまた少し涙ぐんだが、足音が聞こえたのであわてて袖で拭く。 どうやらこの世界ではまだ何も知らないフリをしていたほうが良いようだ。 そっちの方が都合良さそうだし、そもそも、 真実を言っても誰も振り向いてくれないだろう。 振り向いてくれるのは……古泉くらいか。 朝比奈さんは……。 いや、いいんだよ。あのお方は萌え専用のSOS団マスコットキャラなのだ。 それだけで十分だ。文句言う奴は俺が殴ってやる。 長門が朝比奈さんを連れてやってくる。 「……誰だ?その人?」 朝比奈さんではないか。 まさか長門が連れてくるとはな。 朝比奈さんはすごく怯えている。 「朝比奈みくる」 「なぜ連れてきた?」 「可愛いから」 「……は?」 「わたしは萌えというものを重要視している」 「……え?」 「いわゆる一つの萌え要素。朝比奈みくるのこの顔。胸。どれをとっても萌えとしか思えない」 うむ……しかしだな、とうとうお前の口からそんな言葉が聞ける時代になったんだな。 俺は心底驚いた。 長門が急に萌えとか言い出した。そして次に開いた口から出た言葉は、 「……うらやましい」 長門は自分の胸と見比べて、 何を思ったか、朝比奈さんの、それはもう大きな胸を背後から揉み始めた。 「うきゃっ!や、やめてください!長門さん!」 「……やめない」 「きゃぁああ~っ!」 「……うらやましい」 俺はというと無言でただ、立ち尽くしているだけだった。 長門、ごめん。なんか鼻血出そうだ。 「そのへんにしてやれ、長門」 俺は長門を朝比奈さんから引き剥がす。 「あなたもどう」 「ひぐっ?!」 朝比奈さんが俺から30cmほど遠さがる。 この反応、懐かしいな。 「遠慮しとく」 どうやら安心したようだ。 「あなたはこの部活に入部するべき」 「えぇ……?」 「朝比奈さんは何か部活をもうやってるんじゃないか?長門」 確か書道部……だったか。 「えぇ、わたしは書道部に所属……って……あ……」 なんだろうか、この「あ」は。 「分かりました……書道部は抜けてこの部活に入部します」 いったい何が分かったんだろうか。 「いいんですか?まだ名前も決まってないような部活ですよ?」 「……名前なら今決めた」 「……どんな名前だ?」 俺と朝比奈さんのゴクリ、と唾を飲む音が聞こえる……気がする。 「その名も」 「KYON団」 ……はぁ? なぜ俺の名前なんだ? そしてこれはネーミングセンスの無さが光りすぎている。 なぜKYON団か、という内容の疑問を有希に投げつけると、 長門は淡々と説明してくれた。 K キョンとわたしたちが Y 陽気で楽しい毎日を O 送り続けるための N 長門有希の 団 つまり、俺のためということもあってKYON団か。笑えん。 活動内容は未定らしい。 たぶん、宇宙人やらなんやらと遊びに行くことだろうな。 ……あれ?そういえば長門って自己紹介の時、 宇宙人じゃなくて異世界人って言ったよな……? ……それにしても本当にネーミングセンス無いんだもんなー。 なんだよ。キョン団って。 第10話『長門 有希 の憂鬱Ⅰ』~終~ キョン「次回予告! 謎の転校生までもを引き込むKYON団!」(古泉かよ) 有希「これがわたしの望んだ世界」 キョン「お前、ハルヒに憧れてたのか?」 有希「……教えない」 キョン「それにしても何か忘れているような……」 有希「思い出さないでいい」 キョン「……なんだろうか」 有希「第11話『長門 有希 の憂鬱Ⅱ』」 キョン「乞うご期待!」 第11話
https://w.atwiki.jp/2chfigma/pages/18.html
No.001 長門有希 制服ver.(Yuki Nagato School Uniform Ver.) 「この銀河を統括する情報統合思念体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース、それがわたし。」 情報 作品名 涼宮ハルヒの憂鬱 定価 2,500円(税込) 発売日 2008年02月14日 商品全高 約135mm 付属品 表情:正面目線、横目線 手首:×10(握り手×2、開き手×2、持ち手×2、平手×2、指差し手×2) 武器:無し 共通付属品(スタンド、スタンド用アーム、収納袋) その他:交換用前髪(眼鏡付き)、パイプ椅子、本×2、上履き(1年生用) 写真 キャラクター概要 涼宮ハルヒが文芸部室を乗っ取った際、SOS団団員その2として組み入れられた唯一の文芸部員。 「SOS団に不可欠な無口キャラ」(ハルヒ談)で、感情の表現、表情の変化に乏しい。 その正体は、情報統合思念体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースであり、ハルヒの言う所の宇宙人。 後により自由に活動をしたいという思いから、自らの情報操作能力を意図的に封印して人間らしい一面を見せ始めるようになる。 商品解説 一般発売第一弾。 可動・造形共に優秀な出来で、続くラインナップへ期待を抱かせるのに十分なクオリティ。 11月発売の消失版ハルヒには通称「消失長門」を再現するための笑顔が付属している。 これに合わせて殆どの店舗で既に姿を消している本商品の再販に期待したいところだが… 良い点 パイプ椅子、本×2と充実の付属品。 悪い点 頭部を後ろに反らせられない。襟足の毛が首に干渉して可動を妨げている模様・ 眼鏡がこのスケールにしては分厚いと感じる人もいるかも。でも眼鏡も可愛いよ長門 注意点・不具合情報 関連商品 涼宮ハルヒ 制服ver. 涼宮ハルヒ 夏服ver. 涼宮ハルヒ チアガールver. 涼宮ハルヒ 中学生ver. 涼宮ハルヒ 光陽園学院ver. 超勇者ハルヒ 長門有希 悪い魔法使いver. 朝比奈みくる 制服ver. 朝比奈みくる チアガールver. 朝比奈みくる 戦うウェイトレスver. 朝比奈みくる 大人ver. キョン 制服ver. 古泉一樹 制服ver. 鶴屋さん 制服ver. 鶴屋さん 文化祭メイドver. 朝倉涼子 制服ver. コメント 再販しても、再販なのは勢やけいおん!勢みたいに受注制じゃなさそう。せめて長門は受注制にして欲しいな -- 名無しさん (2010-08-29 10 13 11) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/chine_miku/pages/86.html
- 主演:長門有希 劇場版 涼宮ハルヒの消失、いよいよですねぇ 上映時間150分とか何考えてるんですかねぇ まぁそれはさておき、新作替え歌「V.I.P」と「Uzeee Christmas」の リリース日が決まりました。 12/24(木)、2作同時リリースということで 今年夏の「Busaiku」「Crazy boy~キミ・ハ・ムショク~」と同じような 感じで、それなりのヒットを飛ばせることを期待しております。 そして予定通り、ベストアルバム「痴音ミクの記録」と「痴音ミクの記憶」を 続けてリリースするという形になりますので、お楽しみに! …ところで、替え歌人気投票もいよいよ投票締め切り間近となっておりますが おそらくは現状況のまま、順位&収録曲が決まりそうです。ちなみに 1位 24票 2位 20票 3位 17票 となっております。 どの曲なのかはまだ秘密ですが。 本当にたくさんの投票&ご意見を頂きまして、大変に感謝しております。 戻る コメント リリース日決まりましたか!wktkしてます! -- 名無しさん (2009-12-20 11 54 12) きっと1位はむしょくしゃまなんでしょうね -- 名無しさん (2009-12-20 13 34 20) orz入ってると願いたい -- サーモン (2009-12-20 17 39 41) 楽しみに心待ちにしてます。 ちなみに俺今日誕生日です -- 幹事長 (2009-12-21 07 49 25) いよいよ明日ですねみなさん! -- サーモン (2009-12-21 18 49 10) 因みに改名しました。 -- オンドウ (2009-12-23 14 24 17) やっぱしこっちに改名。 -- 音頭 (2009-12-23 14 25 00) 特に、(入ってるか分からないが)「何もかもが無駄だった」と「明日もしパソが壊れても」のEDぴったりソングが楽しみです。両者それぞれの最後のトラックにして欲しいです。 -- 音頭 (2009-12-23 14 26 45) ついに明日か…楽しみだ -- k (2009-12-23 21 32 22) 収録曲の発表ないですね・・・・・ -- サーモン (2009-12-23 21 47 30) あれ?まだなのか -- k (2009-12-24 14 12 04) 名前 コメント